すみだ@ベーシック CAO
資金調達したベンチャー企業のコーポレート組織が取り組んできた5つのこと
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資金調達したベンチャー企業のコーポレート組織が取り組んできた5つのこと

すみだ@ベーシック CAO

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。

先日のプレスリリース、及び代表の秋山のnoteでも発表がありました通り、ベーシックは2021年12月2日に、One Capital様をリードインベスターとして、i-nest capital様、博報堂DYベンチャーズ様、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム様を引き受け先とする第三者割当増資、及び金融機関からの融資により、総額11億円の資金調達を行いました。

今回の資金調達を機に、役員がそれぞれの思いを綴ったnoteを順次公開しています。これまで上記代表の秋山に加え、CSOの佐々木COOの林、そしてCTOの桜庭が、それぞれの管掌領域に関するnoteを公開してきました。

第5弾となる今回は、私角田から、CAOとして管掌するコーポレート部門において、今回の資金調達までに行ってきた施策を中心に書いていきたいと思います。特に、同じようにベンチャーやスタートアップのコーポレート組織に関わっている人のご参考になれば幸いです。(ひとまずこの「ベーシック資金調達の舞台裏」のシリーズとしては今回で終了の予定です)

これまでの経緯

改めまして、私がベーシックに入社したのは2018年8月です。多少紆余曲折ありながら、始めは主にこれまでベーシックに無かった経営企画機能の立ち上げを行っていました。この経営企画立ち上げの経緯については、以下のnoteで公開し、大変ありがたいことに多くの反響をいただきました。

そして2019年1月に執行役員に就任、それと同時にそれまでの経営企画に加え、経理、法務、総務が管掌として追加、その後広報、人事も管掌に加わり、現在のようにコーポレート組織全てを見る形となりました。

入社から3年強、この度の資金調達まで、管掌役員としてコーポレートに関わる中で本当に色々なことがありました。それこそ入社したての頃は、まさか自分が今のような範囲を見ることになるとは想像もしていませんでした。まずは、その過程でこれまで直接的 or 間接的に見てきたことを簡単に振り返ってみたいと思います。

取り組みの振り返り

管掌の幅が広いため一概にこれをしたと言うのは非常に難しいですが、中でも特徴的なものを5つほどピックアップしてみました。

・経営企画機能の立ち上げ
・人事制度の刷新
・コンピテンシーの刷新と浸透
・採用広報の強化
・資金調達

経営企画機能の立ち上げ
冒頭にも触れましたように、まずは「経営企画機能」の立ち上げを行っていました。会社というものはジャングルのようなものだと考えており、年数が経てば経つほど、成長すればするほど、草木が覆い茂って出口が分からなくなるかの如く複雑化してきます。そのため一定規模の会社には、そのジャングルを客観的に把握し、出口まで導くジャングルガイドのような存在が必要だと思っています。

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経営企画立ち上げのフレームワーク的なもの

まさに経営企画がその役割であると考えており、私が入った当時のベーシックは規模として100人を超え、ジャングルガイドが必要なほど複雑化した状態だったと判断した訳です。この機能を立ち上げた結果、当時よりも更に事業の成長は拡大している中で、より早く、より正しく、進むべき道を進める状態になったと思っています。(詳細は以下noteをご参照ください)

人事制度の刷新
ベーシックの創業は2004年であり、これまで何度か事業のピボットを行ってきました。そして2015年からは現在主軸としているSaaS事業に本格的に注力し始めていた中で、事業成長を支える重要な要素である「人事制度」自体は過去から大きくは変わっていませんでした。特に弊害と感じていたのが、評価の不明瞭さにより、社員の成長の停滞が起きていたり、その成長を実現し得る機会の最大化が行えていないと感じていたことです。社員の成長とそれを支える人事制度含む会社の環境は表裏一体であるべきにも関わらず、会社のフェーズに応じた適切な制度のアップデートがなされていなかったのです。

現在のベーシックの人事ポリシー

そこで2019年1月より、従来のいわゆる職能型ではなく、職責型である「期待役割グレード制」を導入しています。これにより、前述の弊害を取り除いた上で、社員からの納得度もより高い人事制度の基盤を築くことができました。(詳細は以下記事をご参照ください)

コンピテンシーの刷新と浸透
人事制度と同じく、長年事業を運営していた中で、形骸化していたり、会社の目指すところとずれていたのが、社員に取って欲しいと考える「行動規範」でした。前述人事制度の刷新に基づき、挑戦機会の最大化及びそれに伴う成長を社員に求める一方で、最終的に会社が求める成果を出すには、この行動規範が非常に重要であると考えています。そのため上記人事制度の刷新に合わせて、改めてコンピテンシーという形で定義し直しました。(社内ではbasic powerと呼んでいます)

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ベーシックの3つのコンピテンシー

なお、当たり前ではありますが、ベーシックにおけるコンピテンシーにしろ、他社でも一般的に使われているバリューやクレドにしろ、このような行動規範は策定・刷新だけしても意味がありません。いかにこのコンピテンシーを浸透させられるかに徹底的に注力し、ベーシック流の浸透方法の確立を合わせて行いました。(詳細は以下noteをご参照ください ※なお現在のコンピテンシーは、こちらのnoteのものから若干アップデートされています)

採用広報の強化
前述人事制度やコンピテンシーを整えたところで、事業自体が成長しなければ当然意味はありません。そこで当然重要となるのが一緒に働く人です。しかし当時のベーシックはその仲間集めに非常に苦労していました。ferretformrunなど、個別のサービス名はそれなりに知られているものの、ベーシックという会社名の認知度が低く、採用候補者が思うように集まっておらず、また採用できたとしてもカルチャーのアンマッチにより早期離職に至るケースも少なくなかったのです。

そこで力を入れたのが「採用広報」、特にTwitterとnoteの活用による社員個人の発信の強化でした。始める前は全社員合わせても数千人程度だったTwitterのフォロワー数は総計6万人超(執筆時点)、およそ週1本のペースでいずれかの社員からnoteが公開され、その中から1万PV超の規模の記事も定期的に出る体制が今は構築できています。

この結果、応募数、内定承諾率が共に大きく向上、2021年は数としてベーシック史上最大、率にして前年比約3倍の採用人数を実現。会社のカルチャーを事前に外に向けて正しく発信することによりカルチャーアンマッチも激減、離職率も実施前の約1/3と大きく改善しました。(詳細は以下noteや記事をご参照ください)

資金調達
そして、この度も行った資金調達を含む資本政策の実行です。

実は今回公表した資金調達以外でも、私が入社して以降、二度の資金調達、またそれに伴う株主の入れ替えを行っています。前述経営企画機能立ち上げのnoteの中でも触れているのですが、会社というジャングルの中で正しく出口に向かっていくには、出口までの方向性を明確にすることや、出口までの道を整備することはもちろん、当然そこに向かうための十分な体力が必要となってきます。ただ食べられればいいということではなく、その上でより事業推進に適した体作りをする必要があります。

これらの資金調達に加え、2020年末には創業事業である比較メディア事業の事業売却も行っており、この事業売却益も合わせると、私が入社以降調達した資金は約30億円となります。事業売却により「SaaS」という事業に集中する事業体へとシフトしている中で、その成長を支える体力を蓄える上で、非常に素晴らしい株主様に仲間になっていただけたと思っています。(比較メディア事業の売却の背景については以下Voicyでも代表秋山が話していますのでよろしければお聞きください)

コーポレートを見ることになったら何をしたらいいのか

さて、ここまで具体的な取り組みベースでいくつかご紹介してきましたが、このような具体論は、結局は各々の会社の置かれている状況により様々かと思います。そこで少し観点を変えて、私の今の立場のように、仮に「明日からベンチャーのコーポレート組織をまるっと見て」と言われたら何をすればいいのか、私が感じた考え方の枠組みやポイントのようなものを、次のように5つほどまとめてみました。(どこまで汎用的かは分かりませんが…)

1. 外に頼る
2. コア・ノンコアを分離する
3. 型化する
4. 捨てる
5. 成長と成果が最大化される環境を作る

1. 外に頼る
ベーシックもそうであったように、いわゆるベンチャーやスタートアップというフェーズの会社においては、コーポレート組織にとって知識や経験が十分な専門人材が、必ずしも全ての機能に揃っている訳ではないかと思います。だからと言ってそれらを全て正社員の採用で埋めるということは、今後の事業進捗の不透明さやそれに応じた資金繰りを考えた時にも、G&A比率等の観点であまり得策ではありません。高い知識を持った人が必要な一方、工数的にはまだそこまでフルタイムで必要ではないということもあるでしょう。

そこで重要となるのが外部の専門人材や専門会社の積極的な活用です。会社の成長過程のフェーズにおいてはまだまだ採用が難しい高い知識を持った外部のプロフェッショナルと働くことで、足元で足りていない組織としてのケイパビリティを補えるのはもちろん、ある意味その機能・職種における理想のレベル感を知ることができるので、ゆくゆく社員として採用を始める際にも、より正しく人材要件を設定することができます。

ご参考までにより具体的に書くと、ベーシックのコーポレートでも、労務、総務、法務、広報、採用、情シス等の領域においては、正社員と外部の専門会社で役割を分担しながら進めています。(ご必要でしたらそれぞれの会社のご紹介もできますのでお声掛けください)

2. コア・ノンコアを分離する
上記外部に頼る上でも前段に必要となるのが、内容に応じた業務の分離です。ベーシックにおいては、「コア業務・ノンコア業務」という形で分類しています。ざっくり言うと、コアこそ正社員が担うべき本質的な業務であり、ノンコアはよりオペレーション寄りの業務です。このノンコア業務についても、ベーシックでは極力外部に任せるようにしています。

ベンチャーやスタートアップは大企業と違いどんな業務でもして上等というマインドの前提は一定ありつつも、その中でもメリハリをつけないと、それこそ日々忙殺され疲弊し続けるだけになってしまいます。例えば定型的なレポート作成、定期的に発生するシステムの登録・メンテ作業、備品の手配や管理などの総務回り、各種書類の発送作業など、ベーシックにおいてもこれらはノンコア業務と位置付け、外部の会社に委託しています。

これはコーポレートの組織に限らず全社的に必要な観点であり、この意識が全社で徹底されていないと、とにかく足りない工数を新規採用で補うという構造になり、工数的にもPL的にも非常に重い状態となってしまいます。(ご参考までに、ベーシックではノンコア業務についてはCasterさんをかなり活用させていただいています)

3. 型化する
ベンチャーやスタートアップに限らずありがちなのが、せっかく作ったルールやフローが結局徹底されていなかったり、いつの間にか形骸化してあたかも元々無かったかのようになっていたりすることです。大企業だとしても当然良くないのですが、これは我々のようにまだ規模の小さな会社にとってはよりクリティカルです。それらの策定にかけた時間も含めて、会社を存続・成長させるためには、そんな悠長なことをしている場合ではないからです。

そこで重要なのは、徹底的に仕組み化を意識することです。ベーシックにおいては主に「型化」と呼んでいます。どんな取り組みをするにしても、作りっぱなしにせず、属人化させず、永続的に運用に乗る仕組みなのかどうかを、導入にあたり合わせてあらかじめ検討し、設計します。

これは当たり前のようでできていない場合がかなり多いことであり、どの機能を運営する上でも強く意識すべきポイントだと考えています。前述でご紹介したコーポレートで行ってきた各種取り組みも、noteや記事でご紹介している通り、今後誰が担っても再現性があるように型化を行った上で導入しています。

4. 捨てる
日々色々な業務に忙殺されていると、改まって業務を棚卸しをして、包括的かつ体系的に業務効率化を行えているということは少ないと感じています。前述のように外部に任せていくにしても、新たに人員を採用するにしても、その業務自体が最大限効率化されていないと、無駄なことをさせてしまったり、もしかしたらそもそも採用しなくてもこと足りたということも起きるかもしれません。脈々と会社を運営する中で、これまでの業務がただ踏襲されいつの間にか不要な業務が積み上がっていることは、コーポレート組織に限らず会社全体として多々あるものです。

そのような業務の棚卸しを行い業務効率化を検討する際には、一定のフレームワークに沿って考えるととても整理しやすいです。私の場合は、「自動化」「簡素化」「標準化」「集約化」「移管」そしてそもそも「廃止」、この6つの中で考えています。この中で往々にして人のしがらみもあり、できそうでできていないのが「廃止」、つまり業務を捨てることです。ECRS(イクルス)におけるE(Eliminate)も同じような考え方です。

本来不要なものを効率化しようすることこそ最も非効率な業務です。各々の部署で見ているとそれらを見落としがちなのですが、全社横断で客観的に見ることで、強い意志をもってダブりや無駄を会社から徹底的に排除していくことは、体制を作っていく上でも非常に重要だと考えています。

5. 成長と成果が最大化される環境を作る
最後に、ご紹介した上記のいずれの取り組みを行う上でも、それらの成果、またそれを担う人の成長が共に最大化される環境が整っていることが非常に重要です。かくいうベーシックも、その環境が整っていなかったため、前述の人事制度やコンピテンシーの刷新を行いました。

今回もご紹介したような人事制度なのか、MVVなのか、あるいは各種補助制度なのか、具体策として何を刷新・導入するかは会社の状況によって異なるでしょう。いずれにしても会社がそのような環境を作れているのかを客観的に見る必要があると考えています。

特にコーポレートに属する組織は、人事評価が難しい職種であるとよく言われています。業務が定型的で達成度合いについて上振れも下振れもあまりないものだったり、評価自体定性的にしかできないものも多いので、実際そうだとは思います。それゆえに概して目標設定も曖昧になりがちですが、コーポレート組織も含め成長と成果の最大化が実現される適切な目標設定を行うことで、事業の推進スピードは大きく変わると感じています。

これからの挑戦

入社から3年強、資金調達も踏まえ、事業拡大及びそれに伴う採用の強化で、組織は月を追うごとに大きくなっています。この組織作りを行う上で重視しているのが「事業の成長と、社員一人ひとりの働き甲斐の両立」の実現です。いくらサービスが広がり業績が上がったとしても、そのために社員が疲弊し、笑顔でイキイキと働けていない状態であっては、サステナブルな会社とは言えません。そして当然逆もまたしかりです。

すべての社員が仕事に全力を注げる環境があることで、ベーシックのサービスが世の中に広がり、会社が発展し、日本の経済成長にも寄与する。その結果、社員の物心両面での満足度が高まりさらに仕事に注力できる。そんな好循環をこれからも生んでいきたいと思っています。

その上で、他社から常に参考にされるコーポレート組織でありたいと思っています。今回のこの記事でもいくつかご紹介したように、Twitterやnote、各種メディアの取材や寄稿を通じて、ベーシックのコーポレートで取り組んだ事例やノウハウを、かなり積極的に外部に発信するようにしています。加えて、経営企画コミュニティ社内報コミュニティという、2つのオンラインコミュニティの運営も行っています。(現時点で経営企画コミュニティは約500人、社内報コミュニティは約200人が参加しています)

これは、自分たちの成功体験や苦労を参考にしてもらうことで、いわゆる「車輪の再発明」のようにいちいち遠回りすることなく、最短距離で成果を出せる会社が一社でも増えてほしいと思っているからです。

このような取り組みが他社にも広がることで、各企業のコーポレート組織が強化され、その結果社会全体が効率化され、本来情熱を注ぐべきところに注げる世界になっていくという姿は、ベーシックが掲げているミッション・ビジョンと共通しています。事業やサービスはもちろんのこと、コーポレートの面からも社会に貢献できる、そんな組織であり続けたいと考えています。

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ベーシックのミッション・ビジョン

ベーシックは、このミッション・ビジョンを実現する素晴らしい事業を展開しており、そしてその事業を共に伸ばしていきたいと思える力強い仲間がいます。それこそが私がベーシックにいる理由であり、ここで挑戦し続けたいと思える原動力です。

最後に

改めまして今回のnoteでは、発表した資金調達を契機に、これまでコーポレートの管掌役員として行ってきた各種取り組みを中心にご紹介させていただきました。私と同じような立場の方のご参考に少しでもなっていれば幸いです。

その上で、このnoteのもう一つの目的について最後にお知らせさせてください。 ストレートになりますが、この度の資金調達の多くは、会社・事業を成長させてくれる「仲間」への投資であり、現在ほぼ全方位にて採用強化中です。

大きな社会課題の解決に取り組みたい人、ひいては低下し続けている日本の競争力の復活に貢献したい人、その実現の手段としてSaaS事業の推進に携わりたい人、個人として大きく成長できる市場及び会社の環境に身を置きたい人等々、ベーシックに対して共感し、力を貸してくれる人を心よりお待ちしています。より具体的な事業の方向性については、役員として事業を率いる林、佐々木のnoteをぜひご覧ください。同じような想いを持った方はきっと熱くなっていただけるはずです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。こちらのnoteを読んでいただいた方の中から、ご一緒に働いている仲間が誕生している未来を楽しみにしています!

コーポレート組織にまつわることを中心に、これからもnoteやTwitterで発信していきたいと思いますので、それぞれフォローしてもらえるととても嬉しいです。

Twitter:https://twitter.com/takeshisumida_
note:https://note.com/takeshisumida_

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