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新入社員の居場所づくりのために。テレワーク下でも不安を早く解消する 9つのコミュニケーションの切り口

こんにちは!株式会社ベーシックのかりん(@KARINattakarin)です。私は現在、人事広報部に所属し、広報機能全般やインターナルコミュニケーションに注力しています。

さて、私と同じく人事や広報を担当しており、新入社員が入社後早期に活躍してもらうことを目的として、「オンボーディング」施策に力を入れているという方は多いのではないでしょうか。

ベーシックにおいても、過去には入社直後に送る”Welcome Box”に関するnoteを出したりもしている通り、オンボーディング施策については日々強化すべく取り組んでいます。

特に2022年下期にかけては、同年に入社した社員の退職、いわゆる早期離職をゼロにすることを目標に、さまざまな施策に取り組んできました。(結果0名でフィニッシュできました!)

オンボーディングに関する全体像や細かな取り組みについては、すでに様々な企業が発信していますが、このnoteでは「テレワーク下でも不安を早く解消するコミュニケーションの切り口」と題し、特に社員間コミュニケーションの活性化手法についてお話したいと思います。

すでに同様のことを行ってらっしゃる方もいるかとは思いますが、「こんな切り口もあるんだ」と思っていただける方が少しでもいましたら嬉しいです。特に以下に当てはまる方にご覧いただけたらと思います。

・社員の定着方法についてお悩みの方
・新入社員の早期離職に悩みを抱えている方
・社員間のコミュニケーション不足に課題を感じている方
・急速に採用を拡大している企業の人事・広報担当者

社内コミュニケーションを強化した背景

まずはそもそも「オンボーディング」とはというような話になりますが、以下の記事でも触れられている通り、新入社員の前には「5つの壁」が立ちはだかると言われており、その中の1つにあるのが「人間関係の壁」です。(5つの壁自体については、以下の記事が参考になります)

コロナウイルスの感染が拡大した2020年2月以降、ベーシックではテレワークを開始していました。それに伴い、この「人間関係の壁」を取り除くような取り組みを行ってはいたのですが、残念ながら、冒頭でも触れました早期離職者は一定発生している状態でした。

一方で、行っていた各種施策の効果を十分に確認できていたかと言えばそれもそうとは言い切れず、まずは現状行っていることをしっかりと振り返るところから始めました。
そして、その確認の過程で複数の新入社員にヒアリングを行ったところ、以下のような声がありました。

・悩みを抱えた時に、直属の上司以外の話し相手があまりいない
・今悩んでいることは「誰かに聞くレベルではない小さい悩みかも」と考えてしまい、結局自分でどうにかしようとしてしまう
・他部署で同じ職種を担当しているメンバーの意見を聞いてみたくても、リモートワークが中心の中、突然オンラインで話しかける勇気が出ない

これらの声から、既存の施策自体も決して十分ではなく、新入社員が組織に早期に馴染み、円滑にコミュニケーションを行うための工夫は、まだまだ改善の余地があることを痛感しました。

そのため、「コミュニケーション機会を増やし、新入社員の“居場所”を早い段階でつくること」を目的に、改めてオンボーディング施策の整理を進めていくことにしたのです。

コミュニケーションの9つの切り口

いきなり結論となりますが、上述のような新入社員へのヒアリング内容も踏まえ、既存のコミュニケーション手法の改善、及び新規でのコミュニケーション機会の創出施策を追加した結果、現在ベーシックにおいては、以下9つの切り口でコミュニケーション機会を用意しています。

① 配属部署
② 社長
③ 同期入社
④ 同年代
⑤ 先輩社員(ブラシス)
⑥ 同郷
⑦ 同職種
⑧ 勤務場所(地方勤務者)
⑨ 趣味(コミュニティ)

※なお、①②については、一人につき2,000円(税込)×参加人数分まで会社で補助を出しており、③〜⑨については「コミュニケーション補助」と呼ばれる補助制度(一人につき2,000円/回を上限として、会社のオープンスペースもしくはオンラインでの飲み会について飲食代の補助を行う制度)をそれぞれが利用することができます。

① 配属部署

新入社員を迎える部署が主導となり、新入社員を歓迎するランチを入社初日に行っています。基本的には、新入社員が一都三県に住んでいる場合はオフラインで、それ以外の場所の場合はオンラインで実施します。

入社日初日の午前中は、新入社員は入社オリエンテーション(評価制度や勤怠など人事・労務関連などの情報共有などを人事が主体となって行うもの)に参加しています。
それが終わるのがちょうど12時頃なのですが、入社初日で緊張も不安もいっぱいの中、その後1人でランチをする、もしくは初日から1人で黙々と仕事をするとなると、寂しさ、心細さ、不安が余計募ってしまうと思っています。

そのため、まずは入社初日に「ランチ」という形でコミュニケーションをとってもらうことで、同じ職場で働くメンバー同士が少しでも早くお互いのことを知り、仕事がしやすくなることを目指しています。

経営企画部の歓迎ランチ時の様子

② 社長

ベーシックのミッション・ビジョンや、ベーシックで働く上で大事にしてほしい3つの行動特性について、代表の秋山から新入社員に対してオフラインで直接共有する場(BP研修)を入社後1週間以内に設定しています。

行動特性(basic power)はBPと略されており、上記社長との研修は「BP研修」と名付けています

そしてそのBP研修の後はランチに行き、新入社員が代表と交流する場を持つことで、新入社員の熱量がさらに上がるようにしています。

なお、ランチの前には人事から代表に対して新入社員の【キャリア概要】【転職軸】【キャラクター・特徴】などを共有し、社長が新入社員について事前に理解できる状態にしています。その上で、当日のランチには人事も同伴しています。
これにより、代表を前に緊張しているかもしれない新入社員に対して、社長や人事から話を振れるようにし、代表と新入社員がより気軽に話してもらえるよう心掛けています。

BP研修やランチに参加する新入社員全員のプロフィールを事前に代表に共有しています

③ 同期入社

同時期入社の中途社員同士で交流できる「同期ランチ」を、入社後約2週間以内に設定しています。地方勤務の方もいるので、基本的にはオンラインで実施しています。

一般的に新卒同期は結束力が強いものの、中途社員については同期という意識はそこまで高くないのではないでしょうか。
しかし、中途と言えど、同じタイミングで入社したからこそ抱える悩みもあるはずで、それらは先輩社員はもちろん、同期と話すことで解決するケースもあると考えています。

そのため、まずはこのランチを通じて、同期で話すきっかけを人事が最初に作ることで、その後仕事やキャリアの悩みもプライベートの話もしやすくなることを目指しています。

なお、同期といつでもオンラインで話せる状態にするために、同期ランチの最後には、Slackで同期チャンネルを作ることも合わせて呼びかけることも行っています。(実際に作成するかは、新入社員に任せています)

新入社員が立ち上げた同期チャンネル

ちなみに他の人事・広報担当者の方とお話ししていると、「“入社後約2週間”と決めてランチを設定するのは難しくないですか?」と聞かれることもあるのですが、ベーシックでは新入社員の入社日を「1日」「15日」のいずれかに固定しています。
そのため、1日入社の社員しかいない場合は8日くらいに、15日入社の社員もいる場合は両方まとめて17日くらいにランチを行うという運用ができています💡

④ 同年代

新入社員と「同年代」のメンバーとのオンラインランチを入社1ヶ月以内に行っています。

皆さんも一度はこの感覚を得たことがあると思うのですが、相手が同じ年だとわかると心の緊張が解けるケースが多いと考えており、あえて入社して間もない頃に同年代のメンバーとのランチを設定しています。

なお、ベーシックではメンバー管理ツールとしてタレントパレットを使用しており、そこから誰でも同じ年のメンバーを探すことができるようになっています。

タレントパレットでは社員を年齢別に確認することができます

⑤ 先輩社員(ブラシス)

新入社員・上長・ブラシス(メンターのようなもの。詳細は後述します。)とオフラインで交流を図る会を入社1ヶ月が経過するタイミングで設定しています。

オフラインだからこそメンバーの人となりや雰囲気をさらに掴めたり、自分では思いつかなかった質問を違う誰かが行うことで会社や事業に対する理解が深まるため、満足度が高い場になっています。

また、ブラシスオフ会を開催する前には、参加メンバーの自己紹介シートをまとめて共有しています。参加する社員全員が「どんなメンバーが参加するのか」を把握できるようにすることで、その時間で会話が弾むようにしています。

ブラシスオフ会の直前には、参加者のプロフィールを1つのスライドにまとめて共有しています

このブラシスオフ会でも、食べ物や飲み物については会社での補助を行っています。ベーシックでは会社のオープンスペースにバーを設けており(basic Bar)、就業時間以降であれば、社員がアルコールを含めた飲み物を無料で自由に飲むことができ、さらに、前述の「コミュニケーション補助」もあるため、それらを使っている形です。

特にbasic Barについては、実際に使ってみないとなかなか利用しにくいというハードルが、新入社員にあるのではと考えていたため、2杯目の飲み物はあえて新入社員自身で持ってきてもらうことで、basic Barの使い勝手や雰囲気を感じられるような場に設計しています。

basic Barを利用している社員の様子

⑥ 同郷

新入社員と同郷のメンバーとのオンラインランチを入社2ヶ月以内に設定しています。

こちらも歳と同じく、出身地が同じというだけで親近感が湧くこともありますし、そこで生まれ育った人しかわからないコアな話題で盛り上がることも多いのでは、という考えから企画しています。
こちらは普段利用している人事労務サービスであるSmartHRに、自身の出身地を記入してもらっており、社員同士でも確認できるようにしています。

SmartHRの「組織図」という機能を使っています

⑦ 同職種

新入社員と同じ職種のメンバーとのオンラインランチを入社3ヶ月以内に行っています。

入社2、3ヶ月目は、入社したての頃より業務に対する理解も進み、意見が出てきたり、自部署だけではなく他部署に所属している同職種の先輩から話を聞きたくなったりする頃かと思っています。
そのため、次にこのタイミングで同職種でのランチを設定することで、仕事の話も部署を超えて気軽にできる状態になることを目指しています。

例えばマーケティング職などであれば、担当している事業は違えど、施策の面では共通点があったり、参考となる部分も多いかと思います。
交流という観点ももちろんですが、業務上も役に立つ可能性があるという観点で、こちらの括りも大切だと思っています。

⑧  勤務場所(地方勤務者)

ベーシックでは現在、社員の9割がテレワークで業務を行っており、そのうち一都三県以外に勤務しているメンバーは3割を占めている状況です。

一都三県に住んでいれば、気分転換にオフィスに出社してメンバーと交流したり、オフィスやその周辺で行われる決起会やオフサイトミーティング等でリアルなコミュニケーションを取ることができますが、地方勤務者の場合はどうしてもそれが難しくなってしまいます。

常に自宅で仕事を進めることが多いことから、なかなかオンオフの切り替えをすることができないケースや、社員の人となりも掴みにくいことが原因で不安になってしまい、体調を崩してしまう社員も過去にはいました。

その状況を解消するため、地方勤務者(一都三県以外に居住の社員)と人事でオンラインでランチをする機会を作り、息抜きの方法など業務に関係する話に加え、方言や特産物の話など同じ出身だからこそ盛り上がる話をしています。

ただし、例えば鳥取県に居住の社員が1人しかいないというようなケースも当然ありますので、その場合は、生まれが鳥取であるという社員も呼んでランチを企画しています。

ベーシック社員の出身地の分布

⑨ 趣味(コミュニティ)

皆様の会社でも、趣味やスポーツなど、色々な括りで、“コミュニティ”のようなものが会社に自然発生することはあるかと思います。
ベーシックにおいても、これまでも複数のコミュニティがあることは認識していたものの、それを会社として活性化施策に活用しているということはなく、メンバー各自に任せている状況でした。

しかし、多くの場合、仕事以外の共通点(趣味・スポーツなど)は、驚くほど人の結びつきを強めるものだと思います。そこでベーシックでもその力を最大限活用すべく、以下のような形でコミュニティの強化・拡大に取り組みました。

  • 既に存在しているコミュニティ情報の収集

  • コミュニティに関連するSlackのチャンネル名の頭文字を統一し探しやすいように設定(“comm_”に)

  • 各コミュニティの代表者から「活動内容」と「社員に向けたメッセージ」をWeb社内報で発信し、認知を拡大

コミュニティをWeb社内報で周知しました(随時更新もしています)

また、既存社員はもちろん、コミュニティが存在していることを新入社員も入社時から認知している状態にすることが大事であると考え、入社当日に行う「入社オリエンテーション」で口頭でお伝えすることに加え、新入社員用のSlackチャンネルでも改めて紹介しています。

コミュニティに参加しやすくなるよう、
Slack上でも全てのコミュニティチャンネルを共有しています

全社一丸となってオンボーディングをするために

ここまでお読みいただいた皆さんの中には、
「いくらコミュニケーションをとる場とはいえ、ここまで人事が全て管理するのは大変なのでは?」
「自分の会社でも事業部に歓迎ランチの主催をお願いしたいけど、徹底されなさそうで不安・・・」
と感じられている方もいらっしゃるかもしれません。

ベーシックにおいても、上記のような懸念を過去には抱えていたのですが、現在は以下2つを行うことで解消しています。

・ブラシス制度の運用
・型の作成 × ミーティング

ブラシス制度の運用

これまでご紹介してきた9つの切り口の中でも、「同年代ランチ」「同郷ランチ」「同職種ランチ」については、「ブラシス」が中心となって設定しています。

「ブラシス」とは、ブラザー&シスターの略で、新入社員が入社後、仕事の悩み・相談や、他愛もない話ができる状態を目指して、社内コミュニケーションのサポートを行う人事以外の先輩社員のことです。

入社後に新入社員に対して、どういう立場の人にブラシスになってほしいかをヒアリングし(同職種がいいか、むしろ全く異なる方がいいか 等)、それを元に人事や上長との間で適任のメンバーを考慮した上でアサインしています。

入社後、どんな立場の人にブラシスになってほしいかをヒアリングしています

上述の通り、人事以外のメンバーに依頼していることもあり、ブラシスによってはランチ1回だけして終了するなど対応内容がまちまちになってしまっていることが課題としてありました。
その反省を踏まえ、現在では誰がブラシスを担っても一定のコミュニケーションが醸成されるよう、あらかじめ以下のような型を提示しています。

どんなタイムラインで何をしてほしいかを型としてまとめています

型の作成 × ミーティング

ここまでご紹介した施策は、上長やブラシスの協力のあってこそ運用できるものであるため、施策の徹底のために「型の作成 × ミーティング」を行っています。なお、その際のポイントは、社員に「考える」「悩む」ということを可能な限りさせない、ということだと思っています。

通常業務と並行して取り組んでもらっているため、依頼したタスクに「考える」「悩む」というフローが生じてしまうと、どうしても優先度を下げられてしまったり、お願いしていたことが実行・徹底されていなかったりということが発生しがちです。そしてそのことに人事も気付けない状態であることが、実際にベーシックでは過去にもありました。

そのため、特に人事以外の受け入れ側の部署が主導で行うものについては、ご紹介した「歓迎ランチ」を含め、どのような対応が必要かを整理して全て書き出し、以下の画像のような型となるシートを作成しています。

そして、このシートに沿って、誰が、いつ、何をやるのかを確認する「新入社員の受け入れミーティング」を、受け入れ部署の上長(マネージャー)と人事の間で入社前に行っています。

新入社員の入社前に、受け入れ部署の上司と人事の間でやることを確認しています

ブラシスについても、あらかじめ人事・ブラシス・新入社員の3者間で共通認識を持つ時間を作り、そこで共有したこと・決めたことがきちんと徹底されるようにアクションプランシートを記入してもらっています。

ブラシスにアクションプランシートを記入してもらうことで施策の徹底を心がけています

新入社員の不安を解消し、早くイキイキと働けるように

ここまで、新入社員の居場所を早い段階で作るためにベーシックが行っている9つのコミュニケーションの切り口と、それを行う上での社員の巻き込み方についてお話してきました。

ご参考までに、今回ご紹介した内容を含め、ベーシックのオンボーディング施策を改めて時系列で並べると、以下のようになります。

入社オンボーディング施策の全体像

私自身も過去そうでしたが、新しい環境に入ることはとても緊張するものだと思います。周りから自分がどんな目でみられるのか、スムーズに受け入れてもらえるのかわからず、特に全く新しい業界・職種でのチャレンジとなると、「やってやるぞ!」という意欲はあっても、あまりのインプット量の多さと奥深さに頭を抱えることもきっとあると思っています。

そして仕事を終えた瞬間に、張り詰めていた糸がプツッと切れてぐったりしてしまう。そのくらい、毎日を一生懸命に過ごしている方もきっといらっしゃるのではないでしょうか。

一方で、新入社員を迎える私たちは、みなさんが入社してくださることを心から楽しみにしています。
そして皆さんに期待をしているからこそ、少しでも早く社内で居場所を見つけてもらいたい。業務上で困ったことも、プライベートのことも何でも話せる仕掛けを作ることで、働く上での不安・もやもやを早い段階で無くしてイキイキと働いてほしい、そう思っています。

今回は、その状態を実現するために、特に「コミュニケーション」に特化してご紹介させていただきました。
これらの取り組みの詳細について聞きたい、もしくはオンボーディング施策全般について語りたい!話してほしい!などがありましたら、Twitterよりお気軽にお声がけいただけると嬉しいです。
https://twitter.com/KARINattakarin

今回の内容が、人事や広報を担当する皆様の日々の活動に少しでもお役に立っていれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました💐

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