2021年、ferret Oneで実際に行ったセールスイネーブルメント
皆様、はじめまして。株式会社ベーシックにてferret Oneセールス部長をしています神田智貴と申します。
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2017年に新卒でベーシックに入社して以来、ferret Oneのインサイドセールス→カスタマーサクセスを経て、約4年間フィールドセールスを担当しています。
このnoteはベーシックに同期入社した橋本くんにお声がけいただき、「セールスイネーブルメント Advent Calendar 2021」という企画の一環で執筆させていただきます。
私からは所属しているferret Oneの中で2021年に実際に行ってきたセールスイネーブルメント活動についてをアウトプットさせてもらえたらと思います。
ferret Oneにとってのセールスイネーブルメントとは
このアドベントカレンダーを通してセールスイネーブルメントの定義や内容は既に多く触れられていますので詳細は割愛しますが、私個人としてはセールスイネーブルメントとは「誰もが継続的に営業成果を上げるための活動」であることだと理解をしています。
その上で、ferret Oneのセールスチームは少数精鋭で取り組んでいる背景もあり、イネーブルメントのテーマを「インプットを最小化し、アウトプットを最大化する」と置いています。
つまり、現メンバーがお客様とのやり取りをいかに最小の工数で行えるか、そしてお客様にとって最大に良い提案ができるかがテーマになります。どちらか一方が欠ければお客様にとって質が低い提案になってしまう、また工数が肥大化しサステナブルな組織にならない全く意味がない取り組みになるからです。
そのためにまずは現営業組織のどこで工数が掛かっているか、どの部分が上手く行っていないかを把握するところからスタートしました。
データから分かったferret Oneが正すべき課題
ferret Oneでは全ての営業データをSalesforceで一括管理しており、各顧客の商談データや歩留まり、見込みなどを管理しています。基本的にはダッシュボードを見れば各営業のパフォーマンスやフォーキャストやリードタイムなどが確認できるように設計しています。
ある日、Salesforceを眺めながら考察していた際、ferret Oneを営業する際の課題は図解すると以下のような構造になっているのではないかという仮説が立ちました。
図の見方としては、Bヨミ、Cヨミといった上にあるお客様ほど、受注確度が高く(=ferret Oneによる課題解決のイメージが持てている顕在層)、下にあるお客様ほど、受注確度が低い(=まだferret Oneで課題解決ができるイメージができていない潜在層)というイメージです。当たり前ですが上に行けば行くほど数が少なく、下に行けば行くほど数が多くなります。
上記の構造を眺めている中で、私が感じたジレンマは「受注確度が低いお客様ほど提案の難易度高く、時間が掛かる」というものです。
お客様の受注確度が高まらないということは、お客様がferret Oneを使って成果が出て成功するイメージが湧いていないことと同義なのですが、お客様に利用しての成功イメージを浮かべてもらい、実際に採択に至るまでは営業難易度と一定の時間を要します。
一般的な営業マンは基本的には見込みを見極めながら受注確度が高いところからフォローアップをしていくため、受注確度が低いお客様へのアプローチはどちらかと言うと劣後してしまうことも多く、久しぶりに連絡したら他社に決まっている、久しぶりに連絡したらプロジェクトがスタックしているなどの理由で失注になっていきます。
つまり、
・下のお客様を引き上げ、ご発注をいただくまでに仕立て上げること
・それには難しい営業と一定の時間を要して対応することがマストである
・上にあるお客様のご発注+下にあるお客様のご発注増加で僕ら自身も成果が最大化する
ということがイメージ出来たので、「MQL→SQLまでの間の停滞案件の進捗率を高める取り組み」を全体で取り組むことに決めました。
停滞理由をドリルダウンし、レバレッジの効く打ち手を
停滞案件が進まないことの大きな理由は下記2つでした。
・ferret Oneの理解度・信頼度が低い、課題解決イメージが高まっていない
・プロジェクトの目的についてお客様内で共通認識を持てておらず、話が前進していない
また、同時に思った重要なことは「停滞案件 = 停滞しておらず、ゆっくり進捗している」という事実です。つまり、見込み顧客の管理上は同じフェーズで止まっているので停滞しているという話で終わってしまうケースも多いのですが、それは売り手の目線であって、決して買い手側の目線に立てていないということです。
つまり、お客様の中では手探りながらも前に進めようとしているケースが多いが、何をどうしていいかわからない、何をどう検討したら良いかわからないので、結果として停滞して同じフェーズにてとどまっているに過ぎないという発見がありました。
上記が分かったことで僕らは大きく3つの取り組みを実施していくことになりました。
お客様にどう話を進めてもらうのかの方法論をセットする
停滞案件がゆっくり進捗しているのであれば、僕ら営業がお客様に対してできることは「お客様が話を進捗させる上で必要なことを議論できる下地」をセットしてあげておくことです。
BtoBマーケティング領域は、既に取り組んでいるお客様よりも、コロナの影響もあり、BtoBマーケティングをせざる負えないお客様(まだ取り組んでいないお客様)が圧倒的に多い状況でした。その中では、お客様は「どういうサービスを導入しようか」よりも前に、「どのようにこのプロジェクトの検討すればいいか」を迷っておられます。
僕らはそのようなお客様に逐一丁寧にフォローアップして、社内検討をハンズオンでサポートしたい反面、上述の通りそこにはジレンマがあり、全てのお客様に均一にパワーを割くことが難しい状況です。
そこでお客様との初回商談で伺った内容をもとに、そのお客様にとってのBtoBマーケティングの検討本質課題は何で、それをどのようなプロセスで決めることが最も効果的かを第三者目線でお伝えする与件整理資料だけを2-3枚カスタマイズし、それに汎用資料を付けて全お客様に送るようにしていきました。言わばこれは、お客様内で議論するための解説書、少なくてもここだけは押さえて議論を進めてほしいという僕らからのプレゼントのようなものです。
結果としては、SQL化後の顧客のリードタイムが格段に早まった(全体平均の約1/2程度)という結果となりました、これはつまり、お客様が議論をしていく中で僕らがお送りした資料を元に検討してくれて、結果検討内容が固まった後にご連絡いただけるような状態にしっかりとなれたということです。
停滞案件を停滞していると決めつけず、ゆっくり進捗しているお客様にとって必要な検討基準を資料化して送付することでお客様ご自身でそれを活用し、”勝手に” 検討してくれる。そんな状態を作ることができたのが大きな成果として残せた施策となりました。
「検討課題」にフォーカスした資料テンプレートの拡充
与件整理をお客様に送付することが一定の成果に結びつくことを確認できた後、次に取り組んだことが提案資料の型化でした。いかに迅速に、そして効率的にお客様に資料を送付することができるかによって、チーム全体のアウトプットが最大化されると考えたからです。
提案資料のテンプレートを拡充する際のポイントは下記の通りです。
・提案資料をとにかく小分けにして組み合わせて使える状態にしておく
・お客様の「検討課題」に沿って必要なパーツをすぐに選べるように視認性を高める
・提案資料の拡充に対して査定評価設定し、必ず資料の鮮度が保たれているようにする
シンプルに言うと「探しやすさ」と「使われているか」の2点を担保出来るイメージです。
「探しやすさ」
・課題別に数字「01 / 02 / 03など」を割り振り、タイトルに付けておく
・組み合わせて使うので1スライドは5枚以下程度でまとめておく
「使われているか」
・定期的(月1程度)に最新版のスタメン資料だけに刷新しておく
・新規の資料は探しやすさを意識したタイトルにして格納しておく
・資料更新大臣(メンバー評価)を定めてコミットできる状態を作る
この取り組みに依り、資料作成速度も結果高まったこともあり、メンバーの掛けていた工数も削減しつつ、お客様にとっては最適なイケてる資料を送付出来るようになった感じです。
「完全に僕になりきる」トレースロープレの実施
ロープレの手法も変更しました。誤解を恐れずに申し上げますとロープレはやり方を間違えると得たい成果を得られないことが多いと感じており、やり方にはこだわりがあります。
僕がこのタイミングのロープレで大事だと思ったのは「お客様目線で与件整理や提案が話せるか」ということでした。決してサービス紹介をキレイにできることでは無いですし(もちろんそういうものが大事なフェーズもありますが)、意地悪なお客様役を演じてそのお客様からYesを取れる営業マンになってもらうことでもありません。
お客様が自社の課題をしっかり分かってくれているな、この内容で検討を進めていこうかなと思ってくれること、そのお客様の態度変容を生み出せるかどうか、それこそがコアです。
そしてそれには、伝え方や話し方、話す順番、お客様への確認の取り方など含めて、お客様有りきで商談の空気感を感じて話せるトレーニングが重要だと考えています。
そこでロープレのやり方を、僕の商談音声をメンバーに展開する→与件整理の箇所を中心にそっくりそのまま覚えてもらう→ロープレで話せるかを確認する→なぜこの場面でこの言葉を話したか、なぜこの場面で間を開けたかなどを起点にフィードバックする。というかなり細かいやり方を実践しました。
目的は「僕の話すようにそのまま話せるようになれ!やれ!」ではもちろんありません。お客様と営業担当の空気感を適切に肌で感じて、その感じたことを自分もやってみることで考え、なぜの答え合わせをすることです。ロープレをする中で感じた各メンバーの心の機微を大事にしてもらうことが一番の目的です。
まとめ
セールスイネーブルメントを題材にここまで書き進めてきました。
僕らferret Oneチームでは「インプットを最小化し、アウトプットを最大化する」という考えのもと、お客様にとって本当に必要なことは何かの整理→与件整理資料の送付→成果の確認→提案資料の型化(効率化、属人化の排除)→ロープレで磨き込みといったことを2021年を通してやってきました。
その全てのフェーズにおいて重要なコトはやはり「顧客視点」だなと改めて思いますが、今回のnoteを見ていただいた皆さんには皆さんの商材やチームに合ったイネーブルメントの形があるかなと思いますので、微力ながら参考なっていれば幸いです。
(おまけ)一緒に働くあなたをお待ちしています!
ここまで読み進めていただきありがとうございました!
冒頭にも書いたとおり、まだまだferret Oneのセールスチームも少数でやっていることもあり、少しずつ整ってきたことやまだまだ新しく取り組みたいこと、もっとスピード感を持って進めていきたいことなど、日々やりたいことだらけでございます!w
もしこのnoteを読んで弊社に興味を持ってくださった方がいればぜひカジュアルにお話しましょう!直接ぜひお話させてください〜!!
最後ですがこのnoteを読んでくださった皆様の2022年が素晴らしい年になりますように!
メリークリスマス、ありがとうございました!
神田智貴