LTVの高低はセールスが作る顧客体験で決まる! SaaSセールスが本当に心がけるべきコト
こんにちは!株式会社ベーシックの持田(@mochidayuichi)です。
ベーシックでは、社員がそれぞれの業務についてnoteで発信しようという取り組みがあり、今まで代表の秋山も含め計34本のnoteが公開されています。
先日公開となったカスタマーサクセス部林(@YUHEI_CALCIO)のnoteに引き続き、僕もセールス視点で発信できればと思い執筆しています。
僕は現在、ベーシックにてferret OneというBtoBマーケター向けのSaaSのセールスを担当しています。
ferret Oneは、Web制作から集客・広告・顧客管理など、BtoBマーケティングの設計から施策実行まで一気通貫で行うことができるマーケティングツールです。
サービスが産声を上げてから丸5年。おかげさまで少しずつ知名度も上がり、ご満足いただくお客様も順調に増えてきました。
ですが、ここまでの道のりは順風満帆とは程遠く、苦難の連続で自分でもよく逃げ出さなかったなと思うことばかり(笑)
正直、やっとスタートラインに立てたという気持ちです。
ferret Oneに限らず、SaaSの事業を運営する中で、重要指標の一つとなるのが「LTV」ですが、2017年頃まで、ferret OneはそのLTVが非常に低いという問題に悩んでいました。
そして当時の僕は、その問題の原因は、CS(カスタマーサクセス)の対応にあると思っていました。(ひどいセールスです、当時のCSの皆ごめんなさい)
「どんな提案をしても、どんな受注をしても、CSが適切にサポートをしてくれれば、サポートプログラムを適切に計画できたら、解約になるはずない」
そう信じていたのです。
しかし現実には、CSがいくらサポートプログラムの改善を重ねてもチャーンレートは高まるばかり、そしてCSのメンバーは疲弊するばかり。
そうなると、当然MRR(※月間の収益)が積み上がらないので、セールス側で受注をすれどもすれども、受注目標は高くなるばかり。
事業計画で立てた受注目標は、まるで富士山のような高すぎる数値になっていました。
そこまで積み上がってしまった数値を見て改めて、
「LTVが上がらないのはCSだけの問題ではないのではないか?」
と自分たちのセールスの仕方に疑問を持ち、メスを入れ始めたのです。
そのためには長年染み付いていたやり方を根本から覆す必要がありましたが、苦労の甲斐もあり、提案方法や受注スタンスなどの刷新に成功し、今では新たなやり方での勝ちパターンを確立しています。
結論から述べると、いくら頑張っても全ての顧客のLTVを高くできる訳ではありません。サービスの契約段階で、LTVの高い顧客と低い顧客は必ず存在します。
そしてそのLTVの高低を決めるのは、セールスの提案を起点に作られていく顧客体験なのです。
顧客体験は、ツール導入段階のオンボーディングの内容やサービス自体の完成度だけでは決まりません。
顧客との期待値の違い、導入後に発生する課題の想定範囲、サービスに関する認識齟齬などによって大きく変化します。そしてこれらは全てセールスの提案時点で解決できるものです。
LTVの低い顧客と高い顧客の違い
では、セールス提案時点でどのように解決するのか、具体的な説明に入る前に、以下それぞれの顧客の特徴をご覧ください。
<LTVが低い顧客>
1.サービスを導入しただけで売上が上がると思っている
2.サービス内容や役務提供範囲についての理解が浅いままサービス利用を継続している
3.責任者だけでツール導入を決めてしまい、導入したあとのツール運用が回らない
<LTVが高い顧客>
1.サービスを導入後、成果を出すために運用しなければならないことを理解している
2.サービス内容や役務提供範囲について深い理解がある。特に「できないこと」を理解している
3.運用担当者が新しいサービスの導入背景を理解しており、運用工数の目処がついている
これに基づき、上記「LTVが低い顧客」の3つのパターンと、そのような顧客を生まないの予防策について述べていきます。
1.「サービスを導入しただけで売上が上がると思っている顧客を作ってしまう」原因と予防策
世の中の全てのサービスに当てはまりますが、導入しただけで成果が出るものは存在しません。僕たちのツールも例外ではなく、ferret Oneは魔法のツールではないのです。
ここをツール利用開始段階で理解していただいていないということは、「大丈夫です」「誰でも簡単に成果出てます」「何も心配いりません」などの、耳障りの良い言葉を並べ立てて受注している可能性が高いです。
それではサービスの実態と異なりますし、顧客のためにも自社のためにもなりません。つまり誰も幸せになりません。自分のノルマだけしか見えていない、自己中心的な考え方のセールスに多い傾向があります。(恥ずかしながら昔の弊チーム)
最も厄介なのは、セールス自身が自分のノルマだけしか見えていないことに気づいていないという点です。(前述した通り、自分たちもLTVが低いのはCSのせいだと思っていたくらいなので)
これを解決をするには、組織的にマインドを変えるしかありません。
当時の僕たちは、セールスドリブンで「とにかく契約数だ!」と組織全体で取り組んでいました。
その状態を改め、2018年より「顧客の成功」を最重要指標にしました。
同時に「受注してはいけない顧客」を設定し、「あと1件で目標達成できるという局面においてもその顧客を絶対に受注することを許さない」という鉄の掟を徹底しました。
受注してはいけない顧客とは、今までのデータより導き出された、チャーンしやすい顧客のことです。
「目先の新規契約数の達成を諦めてでも、顧客をサクセスさせるマインドを持つ」ということを組織に改めて浸透させる必要がありました。
マインドを「顧客の成功」に全振りすると、徐々に提案内容に変化が生まれます。耳障りの良い言葉だけではなく、導入後に顧客が成功するために必要な工数なども事前に説明するようになります。
この結果、サービスを導入するだけで成功すると顧客が誤解してしまう問題は解決することができました。
2.「サービス内容や役務提供範囲についての理解が浅いままの顧客を生み出してしまう」原因と予防策
このような顧客において受注後に起こる問題は、「イメージと違う」「ここもやってくれると思ってた」などのサービスに対しての認識齟齬です。
場合によっては早期の契約解除に繋がることもあります。
特に「ツールを導入してもできないこと」を理解していただいていないままの受注は危険を孕んでいます。できる前提で社内稟議を上げていたり、サポートチームとうまく話が噛み合わなかったり、思い込みが引き起こすコミュニケーションロスは計り知れません。
この問題については、勇気あるデメリットの説明によって解決されます。
ツールを導入してほしい気持ちが強すぎると、ついサービスの弱点を説明しないまま受注してしまうこともあると思います。その場合、提案時に顧客の頭の中に描いていたことができないと理解するのは、サービス導入後になります。
できないことが、先に分かっているのと後から判明するのとでは、顧客体験に雲泥の差があります。
例えるなら、カレー屋さんに行ってカレーを食べ始めるまで福神漬けがないということを知らなかった問題に近いです。
僕は福神漬けがすごく好きなので、福神漬けを食べたくてカレー屋さんに行くと言っても過言ではないのですが、カレーを食べる段階になって初めて福神漬けがないことに気づいた場合、そのがっかり度合いは計り知れません。
これが、初めから福神漬けはないかもしれない、あったらラッキーだなという期待値であれば、顧客体験はそこまで下がりません。むしろ、福神漬けが置いてあるという普通のことで格段に幸福度は上がります。
もちろん、わざと未成熟なサービスに見せる必要はありませんが、期待値を揃えるためにも、デメリットは最初にしっかりと説明しておきましょう。
むしろデメリットも織り込み済みで価値を感じてもらえるくらい営業力を磨くべきです。
3.「責任者だけで導入を決めてしまい現場の運用が回らない顧客を生み出してしまう」原因と予防策
これは、セールスによって、商談時に導入後の運用体制まで提案できているかどうか、に尽きます。
せっかく魅力的に感じてもらい導入まで進めることができても、顧客にとってはそこからが始まりです。
実際にサービスを使ってPDCAを回していく担当者の存在を忘れてはいけません。運用体制、専任 or 兼任、運用担当の評価に直結する目標は必ず把握しておきましょう。
特に目標については、運用担当の評価がサービスの活用により出した成果と紐づいていない場合、高確率でサービスの導入は失敗します。
どんなに成果を出しても評価されない仕組みでは、仏様でも頑張れません。
また、実際の運用中に発現し得る課題も、事前に運用担当に伝えられているかどうかが大事です。事前に伝えることで、それに備えた体制づくりを考えてもらえるので、課題に対して柔軟に対応することができます。
結果、顧客のサービス導入後の成功確率も上がるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。改めて以下にLTVの低い顧客を生み出さないために、SaaSセールスとして心がけるべきことをまとめます。
・前提を疑うこと(LTVの低下を招いているのは、必ずしも現在関わっている部署ではないかもしれない)
・LTVの高低を決めるのは、セールスの提案を起点に作られていく顧客体験であること
・LTVの低いと高い顧客にはそれぞれ特徴があり、提案の工夫で解決できることがほとんどであること
事業を成長させるためには、とにかくLTVが高い受注をすれことを心がけましょう。このあたりについては、弊セールスチームはその方法を型化し、日々トレーニングを積んでいます。
もし気になる方いらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください ! 色々ディスカッションしましょう!
・LTVを高める受注をするにはどんな提案をすればいいのか
・LTVを高める提案をするためにどんなスキルを持っていればいいのか
・LTVを高める提案に必要なスキルはどうやって身に付けるのか
一緒に働いてくれる仲間も募集中なので、
・自社のセールスの仕方に違和感を感じる
・顧客が幸せになるものを提案したい
・顧客の声を聞きプロダクト改善へ活かしたい
上記に少しでもピンと来た方はぜひご連絡を!
(ピンとこなくてもご連絡ください!笑)
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最後までお読みいただきありがとうございました!!