新卒×リモート環境での成長に欠かせない、「社内コミュニケーションの工夫」について
こんにちは。株式会社ベーシックのなしき(@nashikinassy)です。
2020年4月にベーシックに新卒で入社し、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」のマーケティングを担当しています。
昨年の5月に内定をもらってからは、フォーム作成管理ツール「formrun」で数ヶ月間内定者インターンをしていました。そして、卒論などの関係で一度インターンをやめた後、2020年4月に正社員として入社。そこから今の配属になります。
入社した4月といえば、東京で緊急事態宣言が出たばかり。東京にある弊社では出社が禁じられ、社会人としてのキャリアはフルリモートで始まりました。
そんな中、業務が多様化・複雑化していくにつれ、上司とのコミュニケーションが上手くいかないと感じることが増えてきました。インターン時代に経験した対面でのコミュニケーションとは違った、リモートワークという特殊な環境で起こりがちな問題が徐々に見えてきたのです。私にとって、リモートワーク下でのコミュニケーションの工夫は喫緊の課題となっていました。
慣れない仕事環境で、どうすれば上司との意思疎通をスムーズにできるか?考えていくうちに、徐々に工夫すべきことがクリアになってきました。またそれだけでなく、コミュニケーションの最適化が及ぼす、自己成長や組織貢献への影響も感じるようになってきました。
このnoteでは、新卒×リモートという環境下における成長への道筋について、コミュニケーションの最適化というアプローチから紐解いていこうと思います。
まず1章では、オフラインとオンラインでのコミュニケーションの違いと、新卒でフルリモートになった際に起きうる問題について触れます。
その上で、2章でそれを補完するための考え方や工夫点、3章でコミュニケーションの最適化で得られたものをまとめてました。
そして最後の4章で、コミュニケーションの最適化と個人の成長の間にある関連性について、私の実体験をもとに述べさせていただきます。
どんな職種に就こうとも、多かれ少なかれ社内の人とコミュニケーションをとる機会は必ず発生します。そんな中で、これからの新卒の働き方に不確実性を伴うのは間違いないと思います。すでにリモートワークがルール化している組織もあれば、今後働き方の方針が変わるという組織が出てくるかもしれません。
そのような状況で新卒入社を控える読者の皆さまにとって、このnoteの内容が一つでもお役に立てれば幸いです。
1章 リモート環境で生じるコミュニケーションの問題
まず、対面でのコミュニケーションと比べた、リモートワークでのコミュニケーションで起こりうる問題について挙げていきます。
問題を一言で言うなら「チームメンバーとの距離が遠くなること」です。
物理的に遠くなるのは自明ですが、心理的な距離に関しても文字通り"remote(遠隔)”になります。
地味にこれは、様々な負を生み出します。私が経験したエピソードをもとに、いくつかの例を紹介します。
ケースA:隣にいれば聞けることが聞きにくい
心理的な距離が遠くなると、一往復の会話で10秒あれば解決できそうなことすら質問しにくくなるのが、リモートワークの性です。
「伝えたいことが文面で一発で伝わるだろうか…?」「忙しいのかな?今質問を投げたら迷惑しないだろうか…?」という考えを持ってしまうと、質問をするタイミングを躊躇してしまうと思います。
ケースB:そもそも聞いていいものかわからなくなる
頼るタイミングが分からなくなるといよいよ陥るのが、「あれ、このことって質問するに値するほどのことだっけ…?」となってしまう感覚です。
本来は、人に聞いた方が早い疑問は遠慮なく質問し、解決できることが理想です。しかし、新卒1年目ということもあり、分からないことが次々と生まれてくるでしょう。頼るタイミングで躊躇していると、質問事項が大量に溜まってきます。そこで懸念される最悪のケースが、「まぁいっか」と疑問を疑問のまま飲み込んでしまうこと。
私も何回かやってしまった心当たりがありますが、非常にもったいないことをしていたと思います。
ケースC:相手のことを読み取るコンテクストが少ない
先月、偶然上司とオフィスで対面し、ある相談を受けました。一つ考えを提供したのですが、他にも答えがないかじっくり考えていると、「いやそんなに考え込まなくていいよ、ライトな相談だから」と言われ、元の仕事に戻りました。私が割かなくていい工数を割いて他の業務に支障をきたすリスクを、上司が抑えてくれたのです。
ここで言いたいのは、上司が私の誤解を正せた理由が、私の熟考する仕草を視覚で捉えられたからだということです。リモートだと人の姿を五感で捉えられず、判断材料がテキストだけになってしまうため、ちょっとしたことでも互いの認識を揃える難易度が上がりがちです。
2章 リモート環境でも円滑にコミュニケーションを進めるために意識した、4つのポイント
では、リモート環境でもお互いにとって効率の良いコミュニケーションを進めるには、何をすればいいのでしょうか。私が行ってきた取り組みを、4つ紹介していきます。
①通話・チャットの基準を設ける
リモートワーク下でコミュニケーションをとる手段は大きく2つあります。通話とチャットです。重要なのは、お互い(特に上司)にとって円滑にコミュニケーションを進めるための、両者の使い分けです。そしてその基準は、お互い意見を出し合う会話が必要かどうかで決まると思います。お互いが意見を出し合う必要があるときには、通話が推奨されます。以下で、私がよく直面するケースを例に、通話/チャットの使い分け基準を紹介します。
通話した方がいい場合:
・仮説の壁打ちをしたいとき
こちらから仮説を提案する際には通話をお勧めします。仮説が合っている/間違っているの議論は、口頭で話した方が齟齬を減らせます。
ただし壁打ちをする際は、「〇〇という理由で△△というアクションを取りたいです。よろしいでしょうか?」という風に、極力クローズドクエスチョンでまとめること。YesかNoかの2択を差し出す方が、上司も考えやすくなります。
・「何が分からないか分からない」状態のとき
新卒で特に陥りやすいのが、分からないことが次々と生まれて「何が分からないか分からない」状態になることです。そうなると、自力での解決はほぼ不可能です。解決できるにしても、相当の時間を要します。潔く口頭で相談しましょう。
「ここまでは分かっている」ということを共有しながら問題を整理してもらい、分からないことを一つずつ丁寧に解決していくプロセスが必要です。
・チャット上で考えが対立したとき
チャットで意見が対立した場合は、お互いの主張を伝え合った上で、意見をどうまとめるか、という工程が必要になります。考えていることが正反対だと、認識のズレが起こりやすくなります。意見の根拠まで齟齬なく伝えるには、通話が向いていると思います。
チャットするべき場合:
チャットで済ませるべき場合というのは、通話をする必要がない場合全て、と言い換えることができるでしょう。例としては、以下のようなケースが考えられると思います。
・作った資料の一次フィードバックを求めるとき
・単なる事実報告/緊急性が低いこと
相手の了解をもらうだけで済むことや、逆に相手にじっくり考えてもらいたいことがある場合は、チャットの方が効率的だと思います。
②通話の時間を朝・夕に設ける
持つ業務が増えると、通話で解決した方がいい確認事項が増えてきます。それを抜け漏れなく解決できるように、直属の上司と朝夕の1日2回・30分ずつ通話のための時間をもらっています。
日中に取り組むタスクの疑問点を事前に解消するために、始業30分後から。
日中の業務で生まれた疑問の解消や仮説の壁打ちをして翌日に活かすために、終業1時間前から。
確認することがなければ、今日のTodoをテキストで送るだけで通話時間は取らないという日もあります。
なんでも話せる時間を1日に2回通話の時間を設けることで、些細な疑問をなんとなく飲み込んでしまうというリモートワークでのリスクをカバーしています。
③リアクションはなるべく早めに
いわゆる「即レス」と呼ばれるものです。「必ず1分以内に」というほどの厳格なものではありません。大事なのは、「なしき、このメッセージ見てるのかな?」と思われないことです。
トピックの重要度にも依りますが、そのように思われる時間が増えるほど、上司の不安は増します。そうなると、信頼がされにくくなります。
弊社は社内チャットでSlackを使っているのですが、確認作業が必要な場合は「確認します」というスタンプをつけたり、答えをまとめあげるのに時間がかかる場合は、返答する時間だけを記したレスポンスをするなどしています。
④期日の認識を揃える
上司から期日が定められた場合はそれを守るだけですが、上司から明確な指示がなければ、こちらから期日を尋ねましょう。もし上司側に明確な期日が無ければ、こちらから期日を定めましょう。それぐらい期日を定めるのは重要です。
それはなぜか?自分のタスク管理のためというのもありますが、一番は上司からの信頼問題に関わるからです。
私自身、期日の管理が甘かったために失敗したことがありました。
今年の夏ごろ、まあまあ大きなタスクを上司から任されたのですが、当初は期日に関して明確な指示が出ておりませんでした。本来はそこでタスクを分解しマイルストーンを引くべきでしたが、それを怠ってしまいました。そして後から「これそろそろやって欲しいんだけど、どうなってる?」と聞かれたときにはもう遅し。工数が多くて計算もできていないプロセスを短期間で全突破しなければならない、大慌ての事態となってしまったのです。結果、別の上司の工数を多く割き、迷惑をかけてしまいました。
この件は運よく周りの助けに救われましたが、これは社内の信頼問題に直結します。「この日までにやってくれるみたいだし、それまで待てばいいんだな」と思われるのと、「そういえばあの仕事いつやってくれるんだろう、忘れてるのかな」と思われるのでは、寄せられる信頼の大きさは全く違います。この失敗から、期日管理の重要性を身をもって学びました。
3章 コミュニケーションの最適化で得られたこと
リモートワークが始めったばかりの頃は、「通話で聞こうかな…チャットの方がいいのかな…」で悩むのに5分とか使っていたのが、上記の実践を通して、自分の時間を上手く使えるようになってきました。
ここで、私がコミュニケーションの最適化で得られたことをまとめてみます。
・やりとりが効率化して生産性が上がり、受け入れられるタスクの容量が増した
・週単位での工数のヨミ精度が増して、上司のタスクを過不足なく巻き取れるようになった
・差し込みで依頼が来るタイミングを少しずつ読めるようになり、個々の業務に集中しやすくなった
・「なしきなら即レスしてくれるから、ライトな依頼ならギリギリにしても大丈夫」という安心感を与えられている(気がする)
大前提、前章で紹介した工夫などが実践できれば、1章に挙げた新卒×リモートワーク下で起こる問題はいくぶん解消され、業務の効率化や信頼の獲得などを促進できると考えています。
加えて、個人のレベルアップは結果的に組織にも還元されていくので、対個人・対組織の双方でプラスの恩恵を得られることになります。組織において、新卒が急速に成長し他の社員に追いつくことは、事業成長をする上でのキーになるはずです。
ぜひ自社の環境にあった形で、2章で取り上げた工夫を再現していただけたらなと思います。
4章 コミュニケーションの最適化の先に得られる成長
3章で、コミュニケーションの最適化によって対個人・対組織の双方でプラスの恩恵が得られることを紹介しました。ただ、両者は決して並列の関係にあるわけではなく、個人の成長が組織の成長に還元される、つまり個人の成長→組織の成長という順で波及していくものだと捉えています。個々の能力の向上無くして、組織の成長はないはずです。
そのため4章では、コミュニケーションの最適化と、とりわけ先に来る個人の成長との関連性について、その特徴を詳しく説明します。
社内コミュニケーションの最適化で得られる自己成長の特徴。それは、狙った方向への成長がアシストされることです。
どういうことか?そのプロセスを分解してみます。狙った成長ができるというのは、言い換えると「広い裁量を得る」「様々な経験を積む」チャンスを得られる、ということだと思います。よく就活生が「裁量権がある会社に行きたい」「幅広い挑戦ができる会社に行きたい」と言いますが、決して「〇〇会社に入れば裁量やチャンスが手に入る」というメカニズムではありません。逆です。
上司の立場で考えれば、「この人になら、広い裁量を与えても成果を出してくれそう」と思える人から優先的にチャンスを与えていくはずです。
裁量や挑戦機会は掴みにいくものであり、それを容易にするために必要なのが、上司からの信頼なのです。信頼がないと、新しい仕事・裁量を得られるスピードは上がらないと思います。
もう少し深掘ります。上司の信頼を積み上げていく要素は、日々の一つ一つのアウトプットに他なりません。そしてそのアウトプットを構成するのは、
「成果物そのものの質×アウトプットをするまでのプロセス(コミュニケーション)」の2つと言えるでしょう。
新卒が一発で完璧な成果物を生み出すことは、あまり現実的ではないです。それより先に、コミュニケーションの方を徹底的に磨き込む方が、早期の信頼獲得に繋がります。成果物そのものの質は、先輩から十分なフィードバックをいただいた上で、少しずつ高めていきましょう。
まとめると、下の図のようになります。
個人としての成長は、結果チームへの貢献度も高めます。それによってさらに信頼を積み上げられるので、循環的にいい流れが発生します。
もちろん成果物のクオリティを高めていくための研鑽も別途必要ですが、コミュニケーションの最適化が自己のステージを引き上げる強力な因子であること、これは間違いないと確信しています。
ちなみに、このnoteで書かせていただいたことは、仕事ベースで明確にやりたいことがないという方に特にお勧めできるのかなと思っています。
やりたいことを見つけ出すには、「これはもっと極めてみたい」「あれはあまり楽しめなかったな」というふうに、多種多様な経験(=選択肢)を増やし、そこからやりたいことを選び出せる状態が理想です。そのためには、いろいろな挑戦の機会を掴みにいく姿勢が求められます。前章の図で説明したのと同様のロジックです。
そのためのコミュニケーションの最適化と捉えて、このnoteを役立てていただければと思います。
今回はマーケティングに携わる者としてのコミュニケーションの工夫について紹介しましたが、もちろん他の業種の方でも、これからの業務に活かせる部分はあると思います。ぜひリモート環境でのコミュニケーションに悩んだときに実践してみてもらえると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。