属人化していたお問い合わせ対応を標準化し、課題解決スピードが2倍になった話
こんにちは、株式会社ベーシックのかりん(@KARINattakarin)です。
私は現在、フォーム作成管理ツールformrunのカスタマーサクセスを担当しています。
formrunにジョインした当初はお問い合わせ対応といただいたお問い合わせ内容の整理をメインで行っていましたが、現在ではお問い合わせ対応・レビューに加えformrun機能の要件定義や事例取材、オウンドメディア『formLab』の更新等を行っています。
最初はお問い合わせ対応だけでもいっぱいいっぱいでしたが、現在は複数の業務を同時並行しながら行うことができています。
思い返してみれば、これはお問い合わせ内容からお客様の課題を見極めてスマートに解決策を提案できるようになり、機能や導線の改善を行うことができた、つまり「お問い合わせ対応の標準化」ができたからだと思います。
そこで今回は、かつての私のようにお問い合わせ対応で追われている方や、機能要望の優先順位付けに迷われている方、お問い合わせ対応の質を向上させたい方のお役に立てればと思い、noteを執筆させていただきます。
お問い合わせ対応だけで過ぎていた一日
私がformrunに配属された当初、いただいたお問い合わせに対応する担当は私ひとりでした。
もちろん、最初から一人でお客様に適切な案内はできないため、当初はプロダクトオーナーの甲斐(@Kai_MSYK)が私のお問い合わせ対応に対してレビューをしてくれていました。
ですが、私がお問い合わせ対応をしていた当時はお問い合わせ対応に1日6時間、お問い合わせ内容の整理に2時間かかっており、これだけで1日が経過してしまう状況でした。
その後、formrunチームにインターン生がジョインしてからは、主にインターン生がお問い合わせ対応の下書きを作成し、その後私たち社員がレビューを行い、お客様に回答を案内するフローをとっています。
しかし、お問い合わせへの対応確認に多大な時間がかかり、お問い合わせ対応に関わる全員が他の業務に着手しにくい状況でした。
つまりこのフローを運用するうえで、以下のような課題を感じていました。
1. お問い合わせ対応だけで1人あたり1日6時間ほど費やす状況となっており、他の業務に着手できない
2. お問い合わせ担当者によって、お問い合わせへの回答の精度にばらつきがあり、レビュー工数がかかる
「お客様の声」であるお問い合わせをいただけることはありがたいことですが、formrunは少人数のチーム体制であることから、お問い合わせ対応のみに時間をかけ続けることはできません。
少人数のチームでありながら、これまで以上に事業成長を加速させるためには、お客様からのお問い合わせ対応を標準化し、お問い合わせに掛かっていた時間を短縮する必要がありました。
お問い合わせ対応を標準化するうえでの課題
まず、なぜお問い合わせ対応に時間がかかっているかを確認したところ、①同一の改善要望やformrunの使い方に関するお問い合わせを複数回いただいているが、対応策を練れていないことがわかりました。
また、お問い合わせ全体を見てみると②1つのお問い合わせを解決するのに4回以上やり取りしているケースがあることがわかりました。
そのため、上記それぞれを解決できるアプローチをすることにしました。
①お問い合わせの解像度を上げ、ヘルプページ内での課題解決を目指す
改善要望やformrunの使い方に関するお問い合わせに対してアプローチするために、いつ、どんなお問い合わせがきたかを確認するスプレッドシートを作成しました。
このシートでは、
改善要望・質問(A)が累計何回きているのか
改善要望・質問(A)が何月に何回きているのか
改善要望・質問(A)に対して、どんなアプローチをしたのか
を記載しています。
ただ、お問い合わせ内容を全てチームに共有していたら、どのお問い合わせ内容から優先して改善に取り組めばいいかわからず、チームは疲弊してしまいます。
そのため、カスタマーサクセスとして優先度をあげる基準として大きく2つを設けました。
改善要望・質問(A)は月に4回以上きている
改善要望・質問(A)に対する分数(10分以上)
上記に該当するものは「問題」と捉え、
・なぜこのお問い合わせがくるのか
・それに対する解決策は何か
を洗い出し、2週間に1度、チームに共有しはじめました。
これにより、
(1)カスタマーサクセスチームがヘルプページへの改善formrunのテンプレート機能の作成・追記を行うことで、お客様の解決するために必要なことに10秒で対応できる体制を整える
(2)開発を進めるべく、要件定義をして対応する。開発した機能の設定方法は必ずヘルプページに記載する
などの打ち手を講じることができました。
特にこの取り組みにより、formrunの「よくある質問」のヘルプページが作成され、現在はいただいたお問い合わせに対してこれらのヘルプページを案内するだけでおおよその課題が解決できるようになり、よりスピーディーに対応できるお問い合わせが増えました。
②お問い合わせ対応の質の均一化を目指し、お問い合わせ1つあたりのやりとり回数を1/2にする
2019年の6月時点で、formrunでは1つのお問い合わせについて、先方とformrunとのお問い合わせのやりとりが4回以上続くものが約15件ありました。
1つ返信をするのに約15分かかるとすると、1人のお客様の課題を解決するのに1時間ほどかかってしまう計算です。
そのため、1つのお問い合わせに対するコミュニケーション量を減らし、より早くお客様が課題解決できるように、お客様とformrun間で質問と回答のラリーが4回以上続くものをピックアップし、問題解決を図りました。
具体的には、
1. 先方からformrunにお問い合わせがあった内容
2. formrunから先方に返信した内容
3. 2. に対する先方からの返信
4. 3. に対する先方からの返信
を、ドキュメントに抽出しました。
その上で、
「何が問題でコミュニケーション量が増加したのか」
「解決策は何か」
「お問い合わせ対応をテンプレート化することにより対応を短縮できるのか、もしくは機能開発による改善を試みた方がいいのか」
を洗い出しました。
その後、ビジネスメンバー、開発メンバーでミーティングを開催し、両方の視点からお問い合わせ対応の質をブラッシュアップできるよう努めました。
具体的な決定事項としては、
(1)formrunとお客様の間で認識に齟齬が生じないように、formrunのヘルプページに記載の言葉を用いて、双方の認識を揃えてから回答する
(2)formrunのビジネスメンバーと開発メンバー間での確認工数が増えないようにRe:dash(SQL分析結果を確認できるBIツール)をつかって、課題解決に必要な情報をビジネスメンバーが取得できるようにする
などがあります。
また決定事項はSlackのカスタマーサクセスメンバー用チャンネルでピン留めし、都度更新することで、お問い合わせ共有のミーティングに出席しないメンバーがお問い合わせ対応をする際も、いつでも見返せるようにしました。
その結果、この施策を始めた当初は1ヶ月で4回以上ラリーが続いたお問い合わせが約15件ありましたが、現在は1ヶ月で10件弱になっており、より早く課題解決ができるようになりました。
課題解決スピードが2倍へ
課題であった以下2つ
①改善要望やformrunの使い方に関するお問い合わせ
②1つのお問い合わせを解決するのに4回以上やり取りしているケース
に対してアプローチをした結果、お問い合わせ対応時間は1人あたり6時間から半分以下の2〜3時間に短縮しました。
また、各インターン生の業務もお問い合わせ対応だけではなく、それぞれが他の業務を3〜4つ同時進行しながら仕事ができるようになりました。
時間は有限、より早く課題解決をしていきたい
最近、仕事をするうえで「人の時間は有限で貴重だ」と思うことが多いです。
私1人で仕事はできないので、毎日いろんな人に確認依頼をしたり、ミーティングを設定しますが、周りの人のカレンダーを確認するとすでに予定が埋まっていることはざらにあります。
これはベーシック内だけではなく、お客様も同じだと思います。お客様が抱いている疑問や懸念を早く解決することで、お客様の業務が進み、成果が残せることは多いはずです。
だから一人のビジネスマンとしても、カスタマーサクセスに携わる人間としても、人の時間を奪わないように思考し、行動したいと思っています。
formrunのカスタマーサクセスとしてできることはたくさんあるので、常に「問題はどこにあるか」に立ち返り、今後も挑戦していきたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
読者の方で、お問い合わせの要望管理の方法や対応の質の向上等でお困りの方がもしいれば、上記の経験を踏まえお役に立てることもあるかと思いますので、気軽にかりん(@KARINattakarin)にお声掛けくださいね!