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PLGで国内法人ユーザーが増加中!さらに成長を加速させるマーケティングチームの実態とは?

この記事は 株式会社ベーシック Advent Calendar 2024 、8日目の記事です。


こんにちは、株式会社ベーシックでPLG事業部でマーケティングを担当している塚本雄介です。
私たちの提供する「formrun」は、40万を超えるユーザーにご利用いただいているフォーム作成・管理ツールです。

formrunは、導入が簡単で、直感的に利用できる機能性が評価されており、さまざまな業種・規模の企業にて利用が広がっています。
今回の記事では、PLG(Product-Led Growth)を中心とした私たちのマーケティングにおける課題と取り組みについて、お話ししたいと思います。

自己紹介

まず、少しだけ自己紹介をさせてください。
私は2017年にベーシックに入社しました。

入社当初は「ferret One」のカスタマーサクセスチームに所属し、オンボーディングサポートや顧客データの整理、解約分析を担当していました。
次に、事業企画として、事業計画を立案する業務に携わる機会を得ました。事業企画というポジションでは、事業の全体像を捉え、事業成長を構造的に整理して戦略を練ることが求められます。
この経験が、私のキャリアの大きな転機となり、多岐にわたって事業に関わらせていただくことになりました。
現在、私はformrunのマーケティング戦略の設計や施策の実行を担当しています。

PLG型SaaS 「formrun」の紹介

一口に SaaS と言っても、大きく分けて2つのビジネスモデルがあると言われています。
・「セールスがプロダクトを売る」SLG(Sales-Led Growth)型SaaS
・「プロダクトがプロダクトを売る」PLG(Product-Led Growth)型SaaS

SLG型SaaS の特徴は、Salesforce のようにセールスで価値を伝え、高単価で、ハイタッチでのオンボーディング(「サービス提供者:顧客=1:1」でプロダクトの導入支援を行うこと)が挙げられます。

一方、PLG型SaaS の特徴は、Slack、Zoomのようにプロダクトで価値を伝え、低単価で、テックタッチでのオンボーディング(人力ではなくテクノロジーを活用してプロダクトの導入支援をすること)が挙げられます。

参考:【解説】SaaSの新戦略。Product-Led Growthの全貌
私が関わっている formrun は「プロダクトがプロダクトを売る」PLG型SaaS になります。誰でも無料ですぐに利用できる分、ユーザー数が多いからこそ、セールスやカスタマーサクセスなどの人を介してプロダクトの価値を伝えるのではなく、基本的には“テックタッチ”でオンボーディングを完了し、プロダクト自体を通じてのプロダクトの価値を伝えていく必要があります。
このPLG戦略により、私たちは法人ユーザー基盤を着実に拡大してきました。
しかし、その裏には様々な課題とその課題解決への取り組みが存在します。

PLGにおけるマーケティング運営課題

PLGの特性上、営業チームが直接関与せずに製品がユーザーに使われ始めるケースが多いため、次のような課題が生まれます。

  1. 顧客の利用動機や期待値が不明確
    ユーザーが何を期待して製品を使い始めたのか、どのように価値を感じているのかが初期段階で把握しづらい。

  2. 有料契約や解約に至る理由がつかみにくい
    有料契約を決断した理由や、逆に解約した理由を把握する場合に、データだけでは十分に理解できない。

  3. 多様なユーザー層への適応
    formrunは、中小企業からエンタープライズ企業まで幅広い規模の顧客に利用されています。それぞれのニーズに応える必要がありますが、その違いを的確に捉えるのは容易ではありません。

これらの課題を解決するために、formrunマーケティングチームをはじめ、事業全体で「顧客解像度を高める」ことに重点を置いています。

顧客解像度向上の取り組み

formrunでは、顧客の期待やニーズを深く理解し、より良いサービスを提供することを目指して「顧客解像度」を向上させる取り組みを積極的に推進しています。
こちらの取り組みでは、東京大学でスタートアップ支援を行う馬場隆明氏の著書『解像度を上げる 曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』を参考にする場合が多く、書籍内で触れられている内容に触れながら紹介いたします。

解像度を上げるための思考と行動の指針

どの顧客の解像度をどこまで明らかにするかを考える際に、『解像度を上げる 曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』の本の中で、以下のような3つの考え方を参考にします。

分からないことが、分かっているか?:現在の解像度の状態を把握することはとても重要です。この最初のステップを言語化することが、解像度向上の土台となる内容です。
良い課題の3条件:解像度向上でリソースを無駄にしないために、適切な課題設定が不可欠です。課題設定の際に、効率的に進めるための指針となる考え方です。
行動なくして、解像度は上がらない:解像度向上には、思考だけではなく、実際に行動し、手を動かすことが必要です。この言葉通り、「やってみること」が何よりも重要なステップです。

分からないことが、分かっているか?

本の中では「あなたの今の解像度を診断しよう」の章にある見出しの内容になります。
何事も解像度を高める際に意識している内容となります。事業を続けると何となく当たり前になってしまっていることが多くなっています。
例えば、本来の理解度が下のような地図のようにほとんどが隠れている状態とします。

<解像度が低いイメージ>

上図を例とした状態の場合、「最も早く安全に隠れているエリアにあるゴール地点に行くにはどうすれば良いか?」と問われても、明確な回答はできないものです。
こちらの場合に、解像度を上げる際には、分かっていることを「全体の2、3割は地図が見えている状態」として、分かっていないことに「全体の7、8割は見えていない、特に右側はほとんど何があるか分かっていない」とわかっていることとわからないことを明確に置いた上で、解像度向上に取り組む必要があります。
しかし、今までの経験などで「地図の右下らへんにゴール地点はあるのでは?」とかの思い込みで進めると、当たっていれば良いのですが、外れた時にどのようにリカバリーするのかは難しい状態に陥ります。

マーケティング活動においても、この施策は良さそう!と思っても、解像度が低い状態で実施しても、結果が出ないときに、効果がなかったとして具体的な施策の修正点も思い浮かばずに閉じてしまうといったことに繋がりかねません。一発で当てるのではなく、施策の確率を上げていく取り組みとしても重要と捉えています。

良い課題の3条件

第4章の課題の解像度を上げるー「深さ」に記載されている内容です。
良い課題3条件は、本の中では下記とされています。

① 大きな課題である
② 合理的なコストで、現在解決しうる課題である 
③ 実績をつくれる小さな課題に分けられる

解像度向上において、私たちは課題の設定を特に重要視しています。解くべき課題がissueと言われますが、解像度向上のプロセスにおいて、経営も交えて議論して課題設定することも多いです。
先ほどの地図の例に戻ると「最も早く安全に隠れているエリアにあるゴール地点に行くにはどうすれば良いか?」との問いに対して、例えば「早く」を取るのか、「安全」を取るのか?でも進め方が変わります。
早く行こうとしても、危険な道が多くて怪我したら早くは行けないため、まずは安全を重視して「短期間で見えている地図の周辺で安全なエリアはどこか特定できるか?」との課題設定もありえます。重要な観点を定めたうえで、次の解像度向上への踏み台となるステップとして進捗させていきます。
この際にも、本の中で書かれている3つの条件を参考にすると、以下のように照らして課題設定ができるとよい内容と言えます。

「短期間で見えている地図の周辺で安全なエリアはどこか特定できるか?」

① 大きな課題である
「安全」との課題に根ざしているか?

② 合理的なコストで、現在解決しうる課題である
短期間(少ない工数)でできるか?

③ 実績をつくれる小さな課題に分けられる
「見えている地図の周辺」との小さな単位に区切られているか?

行動なくして、解像度は上がらない

「まず行動する」「粘り強く取り組む」「型を意識する」の章の記載になります。
ここはもう「決めたら行動するのみ!」以上は語ることはないですね笑
決めたことをすぐやる、やったら振り返ってまた今の解像度の状態を整理して、良い課題を設定する、の繰り返しです。

以上のような取り組みを経て、ゴールを目指していきます。必ずしも全て隠れた場所が無い状態にする必要はなく、課題に基づいた解決が求められることが重要です。

<ゴールと進め方のイメージ>

抽象的な話になってしまいましたが、私たちは事業部全体で解像度向上をしています。
なかなか解像度向上に取り組めていないとの悩みのある方はぜひともお気軽にお話しさせてください。

顧客解像度向上がマーケティングチームのレベルアップをもたらす

顧客解像度の向上の取り組みによって、マーケティングチームに以下のような良い効果が得られています。

1. 共通認識を持てる

顧客解像度を高めることで、チーム全員が「顧客のニーズや課題とは何か」を具体的に理解できます。これにより、各メンバーが異なる視点や解釈で施策を進めるといったことが無くせるメリットがあります。

2. 施策の幅が広がる

顧客理解が深まると、ターゲットの行動や思考パターンが明確になり、具体的な施策のアイデアが生まれます。

たとえば、今までは「SEO対策をして流入を増やそう!」「サイト改善して離脱率を下げよう!」と数値改善を目的とした状態から、ある顧客層が「◯◯で困っているため、◯◯をすぐ解決してもらうために、サイト上で探しやすくしよう」といったように、顧客の状態に合わせた施策展開を考えることができます。結果、実際に、ユーザーのアクション数が増えるなどの効果を確認している施策も生み出すことができました。

次にどのような数値を改善すればよいのか?と悩んでいる事が多かったのですが、解像度向上により施策の幅が広がり、その施策を実施し、その結果から、どれが数値改善に影響しそうかとの良いサイクルに持って行けている実感があります。
また、解像度が高いと顧客層ごとに適切なチャネルも思い浮かんでいくため、一つのアプローチだけに頼らない多角的な施策展開も推進していくことに繋がります。

3. 学びが増える

顧客解像度向上する過程では、多くのフィードバックやインサイトが得られ、それがマーケティングチーム全体のスキル向上につながります。
たとえば、顧客インタビューを通じて「本当の課題が表面的なニーズとは異なる」という事実を学ぶ経験は、次回以降のリサーチ精度を大幅に高めます。また、顧客の反応や行動データを分析する中で、新たなセグメントや潜在ニーズを発見することもあります。

このような学びにより、マーケティングチームでも、ただ施策をやる、数値改善に取り組むだけにならず、全体の思考の幅を広げ、長期的な成長も促進します。

PLGマーケティングへの挑戦

formrunは現在、40万件を超えるユーザー基盤を持ち、さらに急速に成長を続けています。この成長を加速させるため、私たちは以下のような新たなチャレンジに取り組んでいます。

  • マーケティング活動のさらなる拡大
    顧客解像度を活用して、精度の高い施策を増やし、ROIの向上を目指す。

  • セールスチームの強化
    PLG型SaaSにおいても、特定の顧客セグメントに対しては、セールスによるアプローチが必要不可欠なため、これに対応するため、セールス職種の採用や体制の強化を進めています。

顧客解像度を高めることは、単なる理解にとどまらず、プロダクト価値の向上や新たな顧客基盤の開拓にもつながる重要な取り組みです。
formrunは、この取り組みを通じて、プロダクト主導の成長をさらに加速させ、全ての顧客に最大限の価値を届けていきます。

以上、formrunのマーケティングチーム運営について書かせていただきました!

We are Hiring!

最後に、私たちはformrunをさらに成長させるための仲間を募集しています!
私たちのマーケティングでは、さまざまなチャレンジを経験することができます。
PLGの実践に興味がある方、またマーケティングに情熱を持つ方、ぜひ私たちと一緒に挑戦しましょう!

詳細はこちらから:

ベーシックのアドベントカレンダー企画はこちらから確認できます。
読んでいただき、ありがとうございます!


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