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これまでの営業手法が通用しなくなった時に行った当たり前のこと

初めまして。

株式会社ベーシックにてオールインワン型BtoBマーケティングツール『ferret One』のフィールドセールスのリーダーを務めている神田智貴(@tomoki_kanda)と申します。

ベーシックには2017年に新卒社員として入社し、入社から3年と4ヶ月程度が経過しました。

私は入社後、インサイドセールス(1ヶ月) → カスタマーサクセス(3ヶ月) → フィールドセールス(約3年)と、ferret One事業において主にセールスの役割を担ってきました。

私が入社した当時と今とでは見えている景色は大きく変わってきたのですが、それは私の成長だけでなく、事業方針や組織体制が大きく変化していることも影響しています。特に、2018年10月には受注単価が70万円から250万円へと変更され、それに伴い大きな変化が生まれました。

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もし仮にあなたが自動車販売をしていて、主に軽自動車を売っている営業マンだったとします。そんな中で「明日から軽自動車ではなく、ベンツを売ってください」と言われたとします。おそらく売り方を変更していくことを検討するのではないでしょうか。

例に漏れず、私自身も当時新卒2年目で何か変えなければいけないことは理解しているものの、どうしていいか分からない…といった状況でした。

今回はその受注単価変更時にフィールドセールスとしてどのようなことを行ったのかをお伝えしていきたいと思います。

若くして営業のリーダーをされている方、サービスの売り方に悩んでいる方はぜひ一度、ご覧ください。

入社当時のferret One

ferret Oneはオールインワン型BtoBマーケティングツールで、私が入社した2017年の受注単価は約70万円/年間という金額でした。金額の内訳としては、初期費用10万円とツール利用料5万円×12ヶ月という内容でした。

当時の顧客ターゲットはBtoB、BtoCの業種問わず、企業規模も様々で個人事業主の方から中小企業までと幅広く、その方々にWebマーケティングの取り組みの第一歩としてferret Oneを採用していただくことを目指して日々の商談を行っていました。

新規商談は日に5件程度、主にはオンラインで商談行い、商談後の即契約を狙っていく。そんな毎日を繰り返していました。70万円の受注単価だと即決、ないしは2回程度の商談で発注をもらうことも多い状況でした。

また、当時の部長(@mochidayuichi)はメンバーの商談スキルの標準化を重んじるタイプだったので、商談の落とし所、顧客からYesをもらう内容などを全て定め、どんなお客様でも基本的にはそのフローに沿って商談を進めていました。

つまりフロー通りに行っていれば受注ができるという状態でした。

そのフローを踏襲するために毎度の商談でのイメージを事前に準備し、そのフロー通りに商談を進めることに注力をする。このような形での営業を1年程度行っていたので、次第に「売り方を考えるというよりも、決められた売り方を守る」、そのような意識で商談を行っていました。

今振り返ると、売り方を自分自身で考えたことは無い状態でそれまでの営業としてのキャリアを重ねていたなと思います。

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(入社1年目の私)

受注単価70万円から250万円への変更

そんな中で入社から1年半が経った2018年10月、ferret Oneは大きな転換点を迎えることとなります。

それは、受注単価の大幅な変更でした。
これまでツールのみの提供をしてきましたが、コンサルティングやサイト制作、ツールの機能拡張などを行うことでより一層のお客様に価値を提供をしていこうと方針決定したことが変更の背景です。

ツール利用料のアップと同時に、提供内容がツール利用料に加えてオンボーディング(コンサルティング)+サイト制作というパッケージでの提供となり、受注単価が70万円から約3.5倍の250万円になりました。

受注単価の大幅変更をご経験をされたことがある人ならイメージが湧くかと思うのですが、これまでの売り方や手法が通用しなくなりました。

変わったこととして

・顧客側の意思決定の重さ
・営業への信頼度、力量の重要性
・商品価値を理解してもらうことの重要性
・意思決定フローに関わる人数の変化
・意思決定者の上層化

など、挙げるとキリがありません。

私を含めたferret Oneセールスチームはこの変化に対応できるようなスキルアップを、それまでより遥かに高いレベルで求められることになりました。

と、同時にそのタイミングでチームには営業未経験の後輩が1名ジョイン。当時新卒2年目の私に与えられたミッションはこうでした。

「後輩を育てながら、誰もが営業の正攻法を持っていないサービスを売れる状態になってほしい」

直接言われたわけではないですが、心の中で「ああ、そういうことだな」と感じました。

このような状況で私が実際に行った改革を3つご紹介したいと思います。

営業資料ブラッシュアップサイクル

まず取り組んだことは営業資料の刷新でした。
受注単価が拡大したのにも関わらず、営業資料は旧態依然のままでしたので、新しい売り方の礎を作る意味でもこの取り組みを行いました。

具体的には下記のフローで営業資料の刷新を行っておりました。

(1)叩き資料の作成
(2)商談にて活用
(3)共感フレーズを資料に反映
(4)資料再考
(5)見直し
※(2)〜(5)までをぐるぐるとPDCAを回すイメージです。

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(1)叩き資料の作成
叩き資料作成のポイントは”お客様の顧客心理の可視化”です。
平たく言えば、お客様の頭の中を覗き見ながら「この話をしたらこう思うだろうな」、「この話をしたらこんなことを疑問に思うだろうな」ということを仮説ベースで描いていきます。まずは商談の中での起承転結を意識しながら資料作成をしていくことが重要です。

また、このタイミングでは時間をかけての作り込みは必要ありません。
誰も正解が分からない状態、つまりファクトが足りていないタイミングで時間を掛けて作り込んでいったとしても机上の空論となりやすいので、一秒でも早く顧客に見せれる状態を作ることを意識しながら作成していました。

(2)商談にて活用
実際に商談現場で活用してみます。商談現場はこれまでの仮説を確認出来る貴重な機会となりますので積極的に叩き資料を使って商談を進めていきます。確認すべきは下記のポイントです。

・自分が思い描いている顧客心理になっているか
・共感しているか / していないか

顧客心理の把握は主観が入りやすい領域になりますので、顧客の発言した内容(事実)を追いかけることが大切です。あえてオープンな質問を投げかけることも効果的だとこの時感じました。本来であれば「ご検討頂けますか?」と聞く質問も「フラットに内容を聞いて頂き、どう思われましたか?」などと聞くと、お客様の本来の気持ちを聞きやすかったりするので、そのようなイメージでお客様の本来の気持ちを聞ける状態を作り出すこともセットで行うと良いと思います。

また、商談をしている際には共感の有無も欠かさず行っておりました。顧客の熱量が高まる瞬間と言い換えても良いかも知れません。熱量の高まりは顧客の発言量の増加や商談時の顧客の表情や姿勢などで読み取っていきます。
トーク後に顧客から質問される資料などがあればその瞬間は絶好のタイミングです、逃さずに熱量が高まってそうかを確認して共感の有無を記憶しておきます。

(3)共感フレーズを資料に反映
商談後には共感フレーズ / 資料を記憶が消えない内にチャットなどにメモしておきます。「P13の◯◯」など簡単なメモで構いませんので残しておくとその後見返した際に商談が頭の中で自動再生される形で思い出されるのでオススメです。

思い出される内容を資料に組み込んでいきますが、このタイミングでは敢えて一歩引くことを意識すると良いかと思います。一歩引くとは「その共感はターゲット顧客にとって汎用性が高い内容かどうか」を基準に考えていくということです。ターゲット外のお客様に刺さる資料となってしまっては資料を推敲している意味が無くなってしまうので、ターゲット顧客からの共感確率を高めることを意識して作成してみてください。

基本的には毎日、共感いただけたフレーズは商談後に蓄積しておき、週1で資料に反映させていくような活動をしていました。

(4)(5)資料再考 / 見直し
このステップは継続することの重要性についてですが、営業資料は作りっぱなしになることが多いので、絶えずにアップデートする意味でもメンバーとそのフレーズをもとにロープレを重ねます。一定の成果が見えてきたら、実際にお客様に対して営業資料とともに狙い通りの商談が出来るかどうかをチェックするためにメンバーの商談に同行しました。

この取り組みを行うことで自分の中での資料の確認と、見直しのフローをサボらず行えるようになります。

商談後15分でのPDCA

営業資料の刷新と同時に自主的に始めた取り組みとして「商談振り返り時間」があります。

これは商談後に15分間、1人で振り返りを行うというものです。
15分の中で下記のようなことをまとめていました。

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商談後に「今日の商談は上手く行ったなぁ!」「今回はダメだった」と感想を言っている暇はなく、営業マンは現実を直視して、素早くPDCAを回すべきだと思います。

そのためにも商談後15分で必ず振り返りを行い、ここで営業資料のブラッシュアップをするのはもちろん、トーク内容として良かったところは次回以降も再現できるように、よくなかったところは次どうするのかを一つひとつ明確にしていきました。

具体的には下記のフォーマットを意識して振り返りをしておりました。

(例)ーーーーーーーーーー
【○○○○年○月○日 株式会社○○○○】
・先方が商談に期待していたこと
WebサイトからSEO対策を通して集客を最大化させること

・提案内容
SEO対策:コンテンツマーケティング(ブログの運営)
キーワード例:○○(vol:△△) / ○○(vol:△△)
→そのためのブログ更新出来る環境、サイト、ツール

・頂いた懸念点
費用対効果の算出

・次回の進め方と論点
具体的なブログコンテンツイメージなどで効果例の算出

・事前準備と比較して上手く行ったこと
SEO対策をなぜやりたいかなどの背景と理由を引き出せた
1時間以内に商談を終えることが出来た

・事前準備と比較しての改善点
想定していた以上のキーワード事例の提出依頼、もっと網羅性が必要かも…
ーーーーーーーーーー

とても地道であり、人によっては面倒だと感じるかもしれませんが、上記に合わせて振り返りを行い続ける事で着実に商談スキルを上げていくことができます。

この商談振り返り時間に関しては、以前私が執筆したnoteにもまとめておりますので、ぜひご覧ください。

トークスクリプトと背景の伝達

上記を行った結果、私自身は徐々に成果に繋がるようにはなってきましたが、チーム全体の成果には繋がっておりませんでした。それもそのはず、チームにはフィールドセールスになってわずか1ヶ月目のメンバーもおり、すぐに習得出来たわけではありません。いろいろと試行錯誤をしていく中で営業力を高めるには下記のポイントを意識することが必要だと見えてきました。

(1)営業資料をトークスクリプト化すること
(2)トークスクリプトを暗記するのではなく、背景伝達を意識すること

このことに気がつくまでは私はトークスクリプトを作り、それを元に営業を行うことにあまり賛成ではありませんでした。しかし、チームのレベル均一化に悩んでいたところで上司に「トークスクリプトを作ってみなよ」と言われて作成をしました。半信半疑ではありましたが、実際にトークスクリプトを作成し、メンバー「このトークスクリプトを暗記して話せるようにしてほしい」と伝えると、営業力が向上しているのがわかりました。

これは結果的に気がついたことですが、トークスクリプトがあることによって「誰もが平均点の営業を行うことができる」と考えています。たとえセールスになったばかりだっとしても、トークスクリプトがあり、それを暗記することを意識することで、売れる(可能性が高い)トークを再現できるようになります。これは、各人が営業ごとにトークを考えて自分なりに改善を重ねていくよりも遥かに早いスピードでの成長が見込めます。
ですので、初期のセールスの育成という目的でのトークスクリプト作成はチームの営業レベル向上に有効だと考えています。

ですが、トークスクリプトだけではただの伝言ゲームになってしまいます。
お客様からしてもその言葉に想いや熱量が乗っていない場合、それが二番煎じの言葉だということに気がつくことで、営業マンに心を揺さぶられることは少ないのではないかと思います。

そこで私が次にしたのが「背景の伝達」です。
物事をただただ伝えるのではなく、物事にある背景を正しく伝えられるように訓練していくことを僕の中では背景の伝達と定義しております。

具体的には、下記の画像のようにスクリプトはありつつも、「なぜそのトークをお客様に行うのか」「このスライドで何をお客様に伝えたいのか」という状態ゴールを正しく伝えていく形です。

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(例)スライドと伝えたい内容とスクリプト

重要なのは、お客様の立場や考えているコトに合わせてどのように伝えれば自分たちの伝えたいコトが最も適切に伝わるのかを自分の頭で考え、自分の言葉で話すことです。つまり、プロセスはあなたの自由、でも着地は同じことをお客様が描けている状態を作ろうということです。

それを意識したことでトークスクリプトを脱却し、自分の言葉で正しくお客様に物事を理解してもらえる営業マンになれたのかなと思います。

全社表彰を初受賞、頑張りが報われた

営業資料のブラッシュアップと商談ごとの振り返りをし続けることにより、チーム全体で四半期目標達成、個人では100%の達成基準を大幅に上回る166%達成という結果を出すことが出来ました。正攻法が全くない状態から、ある程度再現性のある商談ができる状態までたどり着くことができたのです。

そしてその頑張りが報われ、2018年10月〜12月に全社の四半期のMVPに選ばれました。非常に嬉しかったです。改めて今振り返るとしっかりと覚悟を決めて、やり切れたと自負していますし、それが評価をいただけて、本当にやり切って良かったなと思います。

中途半端に取り組んだことに対しては「悔しさ」よりも諦めや言い訳が出てきます。「売り方が決まってなかったしな…」とか、「マネージャーがキチンと指導してくれなかったせいだ」とか、「体制が整備されていなかったからだ」とか。上のような考え方だとずっと環境や組織や体制に依存する人になってしまいます。それではいつまでたっても自分の思う状態にはなりません。

当時の自分のキャパシティの限界を知れたこととここまでやれば評価されることが出来るんだということは僕にとっての大きな自信になりました。

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最後に

ここまで諸々行ったことを振り返ってきましたが、受注単価の変更のような一見どのように対応していいかわからないような状況下において、大切にすべきは「お客様にとってより良い営業活動とは何か」を考え抜くことだと思います。

営業資料刷新も、個人の営業振り返りも、チーム全体への背景の伝達も全て次に出会う可能性があるお客様に向けての事前準備となります。
ターゲット顧客に向けてのベストを考え抜き、愚直に実行していくことがやはり重要ではないでしょうか。

ここまで私だけの力でやってきたかのようにつらつらと書いてきましたが、それに至るまでの過程の中ではもちろん多くの社内の先輩方の力を借りて少しずつ形にしてきました。

一見、逃げたくなるような状況などに差し迫った際に、親身に寄り添い助言をいただける環境があることで当時若手だった自分は殻を破ることが出来ました。

何とか状況を好転させたいと思い、前向きに仕事に取り組みたい人には数多くのチャンスと先輩方のベストプラクティスがこの会社では巡ってきます。

少しでもベーシックに興味をお持ちいただけた方はぜひお話しましょう。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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Tomoki Kanda
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