“問い合わせを減らすAI”とは?formrunが挑む次世代サポートの全貌
こんにちは!株式会社ベーシックのかりん(@KARINattakarin)です。
現在、私は、ユーザー数40万を突破したフォーム作成管理ツール『formrun(フォームラン)』のカスタマーサポートを担当しています。
実は、私が学生インターンとしてこのプロダクトに関わり始めた頃、ユーザー数はまだ1万にも届かない規模でした。それが今や40万――こんなに多くの方に使っていただけるようになったことを思うと、感慨深い気持ちになります。この成長を支えてくださるユーザーの皆さんには、本当に感謝しています。
そして、プロダクトの成長とともに増えていくのが、お問い合わせです。現在、私たちのサポートチームには月に500件以上のお問い合わせが寄せられています。それを、たった2〜3人という少人数で対応しているのですが、驚くべきことに、サポート満足度はずっと高い水準をキープすることができています。
実は1年前、このお問い合わせ量をさばくには7人の人員が必要でした。それがなぜ、少人数で回せるようになったのか?その秘密は、私たちが積極的に取り入れているAIにあります。
この記事では、formrunのサポートチームがどのようにAIを活用し、少人数でも満足度の高い対応を実現しているのか、そしてその裏側にある工夫についてお伝えします。少しでも皆さんの興味や参考になれば嬉しいです!
AI活用が変えたサポート業務のリアル
現在、サポートチームではformrunのお問い合わせを以下のように対応しています。各ステップで効率化を目指し、属人化を排除するための仕組みを構築しており、それぞれについてご紹介させていただきます!
AIボットを活用して利用者様自身で質問/疑問を解消
お問い合わせの中で圧倒的に多いのは、「使い方」に関する質問です。フォームの設定、機能の活用方法など、基本的な操作を尋ねるケースが全体の約6割を占めています。
ここで活躍しているのが、AIボット。
人力ではなく、AIボットが1日200件を超えるお問い合わせを解決に導いてくれています。
以下は実際にお客様が「3分岐目」とAIボットに入力し、それを「条件分岐選択(項目)で、3つ目の分岐を設定することは可能ですか?」と解釈し、画像付きでユーザーの問題解決をサポートしていました。
このAIボットを作成するために注力したことは「ヘルプサイトの切り分け」です。
これまでヘルプサイトには全ての情報を記載していたため、ヘルプサイトだけで400ページほどありました。そのため、ユーザーが今確認したいヘルプサイトにたどり着けず、類似のお問い合わせを複数回いただいてしまっていたのです。
そのため、ヘルプサイトから直接たどり着けるものと、AIに聞かないとたどり着けないものに分類し、ユーザー自身でさくっと問題解決できるように仕組みを構築しています。
独自フォームで問い合わせそのものを減らす工夫
AIボットだけでなく、問い合わせの「そもそもの数を減らす」ための仕組みづくりにも取り組んでいます。その一つが、GTM(Googleタグマネージャー)とAIを組み合わせて設計した独自フォームです。
例えば、formrunでは毎月の決まった日時に領収書や請求書が送付される仕組みとなっていますが、それを見て疑問を抱いた方は、AIボットではなくお問い合わせフォームから質問されています。
しかしご質問の多い「クレジットカードの変更方法」「領収書の送付先の変更方法」「宛名の変更方法」などは、決まったやり方しかなく定型文で回答できます。
そこで独自フォームでは、ユーザーがお問い合わせを入力する段階で、その内容に関連するヘルプ記事を自動表示する仕組みとしています。
この取り組みにより、実際にサポートメンバーに届く簡単なお問い合わせは減少し、より重要な課題に集中できる体制が整っています。
内部向けAIボットでサポートチームを強化
外部からの問い合わせ対応だけでなく、内部の業務効率化にもAIを積極的に活用しています。その中心となるのが内部向けAIボット(通称「かりんbot」笑)です。
かりんbot:属人化を防ぐナレッジ活用の切り札
内部向けのAIボットと、先ほどご紹介した外部用のAI ボットの違いは、主に2つ。
1つは、内部向けのAIボットの方が情報量が多いこと。
もう1つは、お問い合わせ用の返答文章を作成してくれることです。
情報量に関して
私達サポートチームでは、過去いただいたお問い合わせは誰でも返答できる状態を目指しています。(脱属人化!)
そのために行っていることが、過去のお問い合わせとその対応をNotionに蓄積し、ナレッジベースを構築すること。
以前は回答を導き出す際に、Notion内で手動検索していましたが、AIボットを作成し、1,500のナレッジを参照してもらっています。これにより、ユーザーの問い合わせ内容を解析、および関連するナレッジを瞬時に提示してもらえるため、迅速かつ正確な対応ができています。
返答文章について
さらに2点目ですが、外部向けのボットとプロンプトを変更しており、ユーザーからの質問内容をボットに貼り付ければ、定型文を含めて生成されるようにしています。
これにより、サポートチームで文章を新たに付け足さなくても解決できることも多く、内部向けボットを活用することで、メンバーは手動で情報を検索する手間を大幅に削減し、より迅速な対応が可能になっています。
特殊対応を効率化する2つのAI機能
Notion AI
先ほどお伝えしたように、ベーシックではナレッジをNotionに蓄積しています。
現在、全社としてNotion AIを導入しているため、内部向けのボットで正しい回答を得られない場合はNotion AIに質問することで最適なナレッジを確認できるようになっています。
セキュリティボットの作成
日々お問い合わせをしていると、セキュリティに関する高度な質問がくることもしばしば。
formrunではセキュリティに関する情報を公開しており、セキュリティに関するご質問をいただいた際にはサポートチームがその情報の中から手動で検索していました。
しかし、そもそもセキュリティの概念や先方の質問の意図を理解していないとそれらに正しく回答することの難易度が非常に高く、何度もエンジニアさんとやり取りを繰り返している状況でした。
そこで、現在はセキュリティに関する質問を内部で確認し回答を出せるようなボットを新たに作成することで、属人化を防いでいます。
AI活用がもたらす未来:進化するサポート
formrunのサポートチームにおけるAI活用は、まだ進化の途中です。今後、さらなる効率化と満足度向上を目指し、以下のような取り組みを進めていきます。
AIボットの解決率向上
外部用のAIボットが誤った回答をしてしまったが故に、お問い合わせフォームからご連絡いただくなど、まだまだボット自体の精度にも課題があるのが実情です。
そのため、現在サポートチームでは、ボットが誤回答したケースを記録し、精度向上のために情報源の修正を行うなど改善を日々進めています。
サポート業務の高度化
単なる「問い合わせ対応」にとどまらず、次の一手を提案する体制を構築。たとえば、「このプランを導入すると、こんな使い方が可能になります」といった未来志向の提案ができるサポートを目指します。
データ活用の推進
1つのボットだけで、毎日200以上のお問い合わせが貯まるなど、ボットは「お客様の声」が詰まった宝の倉庫です。
その膨大な問い合わせデータを活用し、プロダクト改善や機能開発にフィードバック。これにより、formrunそのものがさらにユーザーに寄り添ったツールに進化していきます。
AI活用を支える社内文化
これまでformrunのサポートチームにおけるAI活用についてご紹介しましたが、株式会社ベーシックでは社内全体でAIの活用を推進しています。
例えば・・・
AIアワード
:年に2回の全社総会で、社内でAIを活用した事例を代表者がピッチ。前回は20エントリーがあり、内5人が全社員の前でピッチを行いました。AIコミュニティ
:生成AIのトピック・ニュースがほぼ毎日流れたり、気になるAIを触って情報交換しています。AI朝会
:毎週木曜日の始業前に、AIについて当番制で30分プレゼンする朝会が開催されています。
社長自身が「AIを活用していこう!」と話もしていますし、ベーシックが運営するferret OneというプロダクトでもAIを用いたプロダクト開発が積極的に行われているなど、AIの活用に対して非常に前向きな文化となっています。
AIに興味がある方、属人化を排除し、仕組み化・効率化に興味がある方、ひいてはWebマーケティングの大衆化を実現したいとお感じの方は、ぜひ一緒に働きませんか?皆様といっしょに切磋琢磨できることを楽しみにお待ちしております!
また今回の内容が、カスタマーサポートをされている皆様のお役に立てたら嬉しいです。
明日の投稿は・・・
明日は同じ部署の部長であり、私のインターン時代・新卒時代の上司である甲斐さんが更新します!
お楽しみに!
最後までご覧いただきありがとうございました!