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「もったいないサイト」をどう救う?制作グループ初ウェビナーで見つけた学びと可能性

この記事は 株式会社ベーシック Advent Calendar 2024 、20日目の記事です。

はじめに

こんにちは!ベーシックアドベントカレンダー2024!
20日目の本日は SLG事業部の制作グループの安座間からお送りします!
初めて執筆したnote「2児の母、時短勤務でもマネージャーに挑戦できた理由」から早2年…。
当時5歳だった長男は小学2年生(立派にサッカー少年に仕上がり)、2歳でいやいや期真っ盛りだった娘は来年とうとう年長さんになります。仕事と育児の両立にあたって全面的に頼っていた保育園生活も最後の1年を迎えるところになってしまいました…。

そんな日々の中でも、今年も様々な新しい挑戦に取り組みました。その中でも特に大きな挑戦だったのが、制作グループとして初めてのウェビナー開催です。

制作グループは「ferret One」のCMS機能を使い、BtoB企業のWebマーケティングを支えるサイト制作を担っています。2022年からは特に、ご契約中のお客様のサイト運用を見直し、改善提案を通じて成果を引き出すことに力を入れてきましたが、その中で見えてきたのが「潜在的な課題に気づいていないお客様」の存在でした。

今回の記事では、そんなお客様に向けてウェビナーを開催した背景、準備で苦労したポイント、そしてウェビナーを通じて得られた気づきや学びについてお話しします。


ウェビナーをやろうと思ったきっかけ
「もったいないサイト」に気づいてもらう場を作りたい

私たち制作グループでは、「サイトのデザインを刷新したい」「新たなページを作成したい」といった明確なご要望があるお客様に対して、サイト改善提案を行ってまいりました。たとえば、以下のようなケースです。

  • サービスを効果的に訴求するためのランディングページ制作

  • サービスの追加や事業方針の変更による新規ページ制作

  • コンバージョン向上を狙いとした導線設計の改善

一方で、多くのご契約中のお客様のサイトを見ていると、次のような「潜在的な課題」を抱えるサイトにも頻繁に出会います。

  • SEO設定の不備:H1やH2の構造が適切でなく、検索エンジンから評価されにくい。

  • ターゲットに合わない画像選定:特定の国籍や文化に違和感を覚える画像を使用している、など。

  • 視線誘導の失敗:多くの色を使いすぎて、どこを見れば良いか分からないデザイン。

  • 導線設計の欠如:訪問者が目指す情報にたどり着けない構造。

これらは、運用が進む中で徐々に埋もれてしまい、気づきづらくなってしまう課題です。「せっかく制作したサイトが、成果を最大化できていない」という状態を、私たちは「もったいないサイト」と呼んでいます。
こうしたお客様に、まずは課題に気づいていただく場を作りたい。そして、改善の必要性を認識いただき、具体的な相談につながるきっかけを提供したいという思いから、今回のウェビナーを企画しました。さらに、このウェビナーを通じてお客様から具体的な改善相談をいただき、年内納品が可能な案件を創出することも目標に据えました。

準備の中での迷い
課題に刺さるテーマをどう設計するか


ウェビナーでは、改善の必要性が広く認識されやすいテーマでありつつ、特に「もったいないサイト」に該当するケースに的確に当てはまるテーマを取り扱いたいと考え、以下の3本立てで企画しました。

  1. 競合サイトから見つける改善ポイント

  2. CVR向上を実現する!複数事業を扱うサービスサイトの最適な導線設計

  3. 成果が出ているferret OneユーザーのTOPページ共通項を解説

登壇したウェビナー3本立

ウェビナーテーマはすんなりと決まったようにも思えましたが、実際に具体的な準備を進めていくと、実はかなり苦戦しました…(白目)

最も悩んだのは、「何をどの深さで伝えるべきか」という点です。
たとえば、2本めの企画となっていた「導線設計」ウェビナーでは、導線改善をテーマとして取り扱いたいということは決まったものの、一言で「導線改善」といっても、課題には「グローバルナビゲーションの最適な配置」「最適なCTA設計」「ページ内のレイアウトやリンク先の設定」など、粒度も階層も多岐にわたります。
さらに、課題感はサイトのコンテンツ量によっても変わるため、「問題点は多くあるが、具体的にどこを解決すれば良いのか」が曖昧になり、多くの参加者が「自分ごと化」できなくなる懸念がありました。

この問題を解決するため、まずウェビナーのターゲットを絞り込む必要があると考えました。そこで、CSチームに協力を依頼し、「導線に課題がある」と感じる顧客をピックアップ。その後、30社ほどのサイトを確認した結果、課題感のあるサイトの半数以上が「一つのサイトで複数の商材(サービス)を扱っている」サイトであることが判明しました。
いわゆる「複数サービスサイト」は、情報量が膨大になるため、ユーザーがアクセスしやすい導線設計が非常に重要になります。
このことから、ターゲットを「複数事業を扱っているサービスサイトを運用している顧客」に絞り込むことにしました。

汎用性 vs. 具体性のバランス


ウェビナーには様々な業種や業態のお客様が参加されます。そのため、個別の課題に深く踏み込むと、汎用性が失われ、一方で抽象的すぎる内容では説得力に欠けます。
このバランスを取るため、ウェビナー構成を以下の形で組み立てました。

1.複数サービスサイト特有の課題を解説
サイトで紹介するサービスが多いがゆえに起こりやすいサイト構造上の課題について触れました。

また、取り扱うサービスの特性によって複数サービスサイトを2つのサイトタイプに分類していきます。

  • マルチプロダクトサイト:商材ごとにターゲットも訴求も異なる場合

  • 関連サービスサイト:一つの商材に詳細サービスが紐づいている場合

それぞれの分類ごとに陥りやすい課題と、抑えておきたいポイントを解説。

複数サービスサイトの2つのサイトタイプ

2.具体例を中心にした課題提起
複数サービスサイトの特色や自社のサイトタイプ分類を理解いただいた上で「もったいないサイト」の失敗例とその問題点を示し、参考サイトを投影しながら事例を交えて改善策を解説しました。実際にサイトを見ながら解説することで、具体的な改善策のイメージが湧き、参加者が課題を自分ごととして捉えやすい構成にしました。

よくある課題とその解決策

3.ウェビナー参加者への特典
さらに、ウェビナー参加者が実際に行動に移せるよう、以下の準備も行いました。

  • サイト改善チェックリスト
    自社サイトを診断できる参加特典として配布。

持ち帰り、後から見返すことができるチェックリスト
  • ウェビナーテーマに応じた次のアクションにつながる個別診断のお申し込み
    自社の具体的な課題点や改善示唆を制作ディレクターが無料診断する場の設定

  • 無料競合分析

  • 無料導線改善診断

  • 無料TOPページ改善診断

これらの工夫を通じて、ウェビナーを単なる講義の場に留まらせず、具体的なサイト改善相談(顧客接点の機会)〜商談創出につながるきっかけを提供する場として設計することを意識しました。

ウェビナーの結果|多くの反響と次につながる手応え


当日は予想以上に多くの参加者が集まり、アンケート結果では満足度平均が4点(5段階評価中)と高評価をいただくことができました。また、ウェビナーでお話した内容と照らし合わせて自社のサイト課題に気付き、具体的に課題感を記載いただいたお客様が多かったのも印象的でした。以下に実際にお客様がアンケートに記載いただいた内容を抜粋してご紹介させていただきます。

  • 「現状は、複数のサービス名での導線になっており、今後改善を考えています。これまでも、今も、まずは集客面の強化ということで記事公開に注力してきていますが、徐々にサービスページの充実化なども行っていきたいと思っています。」

  • 「複数商材を扱っており、基本的にはマルチプロダクト型ではあるものの、一部の製品群はターゲットが共通することから関連サービス型も当てはまります。このような混合型であることと、取り扱い製品自体の増減もあり、わかりやすいナビゲーションや関連情報の見せ方に苦慮しております。

  • 「ターゲットの異なる複数商材が列挙されわかりにくく、サービス詳細や資料請求がサイト構造の深い位置にある」

実はこれまでノウハウ発信系ウェビナーから上位アクション(無料個別相談)が発生することはなかったのですが、本企画では用意した無料個別診断への申し込み率が50%を超える回もあり、十分な手応えを感じることができました🙌

ウェビナーで得られた効果|チームの成長と顧客理解の深化


結果として、当初の目標だった年内納品の制作案件受注にはつながりませんでしたが、無料診断でご提案させていただいたお客様からは「まずはご提示いただいた内容を参考に、自社内ですぐにサイト改善に動いてみます!」というお声もいただき、直接的にお客様のサクセス(目標達成・成果)に向けた貢献ができたことはとても嬉しい実感でした。
また、ウェビナーを通して以下のような副次効果を得ることができました。

  • 提案フレームの確立
    ウェビナー準備を通じて作成したスライドや資料は、日々の提案活動で活用可能なノウハウ・提案資料として流用することができ、提案工数の削減が実現しました。また、ディレクターのスキルに依存しない一定の提案品質の担保にも繋がりました。

  • 顧客ニーズの把握
    お客様が「手を動かす」以上に「課題の所在」「解決策」「示唆」を求めていることが明確になりました。(今回の学びとして、ここが得られたのはチームとして大きな成果です!)

今後の展望
「パーソナルトレーナー」として顧客に寄り添う


今回のウェビナーを通じて、顧客ニーズの解像度が上がり、制作グループが今後果たすべき新たな役割が見えてきました。
それはこれまでの「サイト成果物を納品する」という「制作代行」に加え、顧客が抱えるサイト改善の「示唆出し」「課題の把握」「解決策提示」という、より専門的なニーズに応える存在になることです。
サイトのプロとして、制作グループが目指すべきは、顧客の課題を正確に把握し、的確な解決策を提示する、顧客の「パーソナルトレーナー」のような存在です。
トレーニングが自己流では効率が悪いように、サイト改善も正しい方法とカスタマイズが成果への最短距離です。
この役割を果たすため、今後は以下の取り組みに力を入れ推進していきたいと考えています。

  1. サイト課題の要件定義支援
    サイトの成果や専門的な調査を通じ、サイトの現状課題分析(サイト導線は最適か、情報設計や訴求はわかりやすか。など)やデザイン分析(デザイン観点で「もったいない」課題がないか。ユーザーが欲しい情報にアクセスする役割を補填する役割をデザインが担えているか。など)を含んだ具体的な課題や改善点を明らかにする新しいメニューの提供。
    これにより、顧客が次のアクションに踏み出しやすい土台を作っていきます。

  2. 業界特化型の課題解決モデルの開発
    様々な業界やサイトタイプで共通する課題や成功事例を検証・分析し、それを基に課題解決の型を拡充していきたいと考えています。顧客が直面しやすい課題に応えるデザインテンプレートや改善メニューの充実を図り、業界ごとの特性に応じた最適な提案に挑戦していきます。
    また、ferret One CMSの最新機能を活用し、サイト制作のスキルがなくとも簡単に更新できる構造で、競合に負けないデザインを簡単に実現できるデザインパーツや仕組み作りも引き続き行います。
    お客様ご自身が課題を解決するための「武器」を手にできるような取り組みを進めていきます。

  3. 専門性・提案価値の向上
    市場調査や専門性の高い提案商品の充実化を進めることで、チームとしての専門性をさらに高め、「BtoBリード獲得を科学する成果主義のプロ集団」として、研究とインプットを繰り返し、提案現場や顧客から信頼をされる組織へさらなる進化を目指していきます。

制作グループが提供する価値は、サイトの「制作代行」だけにとどまりません。顧客の成果創出にコミットする制作グループとして、科学された提案を届けるための進化を続けていきます。

最後に


正直なところ、ウェビナーを企画している段階では不安ばかりでした。「この情報は薄すぎるのではないか」「お客様がすでに知っている情報ばかりではないか…」-そんな気持ちがずっと頭をよぎっていました。
しかし、いざ顧客の前でノウハウを発信してみると、
「なぜそれが問題で、どうしてこの改善策が良いのか」という解説に対し、想像以上の納得感が得られました。
「意外と知らなかった」「そういう理由があったのか」という反応をいただいた瞬間、私たちが日々取り組んでいる制作の現場からの視点には大きな価値があるのだと実感しました。
Webサイトの情報設計やデザイン表現には、すべて「ユーザーにどういう効果を伝えるのか」という明確な意図があります。これを丁寧に解説することが、お客様の納得感や信頼感につながることを、今回の経験で改めて学びました。
この気づきを基に、今後も制作グループとしてウェビナーやコンテンツを通じたノウハウ発信を継続していきたいと考えています。たとえば、こんなテーマはどうだろう…?(わくわく)

  • プロのライターによるサイト訴求やコンテンツライティングのポイント

  • BtoBリード獲得を目的としたサイトにおける、デザイナーが意図するデザイン表現の解説

制作から各分野のプロフェッショナルの視点を積極的にアウトプットし、お客様に新たな発見や課題解決のきっかけを提供する――その先に、もっと多くの「成果」を一緒に作り上げていける未来があると信じています!!

上記取り組みにご賛同いただけ、BtoBWebマーケティングによる顧客成果にコミットしている制作会社様との共催ウェビナーもやってみたいなあ…
「サイト改善やご提案の際にこんなノウハウをお伝えしているよ。」という情報のシェアや壁打ちなんかもしていきたいです!
ご興味ある方は気兼ねなくDMなどご連絡ください♪(@AiAzama

制作グループの挑戦はまだまだ続きます。次回のウェビナーやコンテンツ発信にも、ぜひご期待ください!

また、本記事で紹介しているウェビナーを始めとして、今期は実に様々なウェビナー施策を行ってきた
カスタマーマーケ部大井の「セミナー活用の戦術と成果」を振り返るnoteも是非ご覧ください!

明日の投稿は・・・

明日のアドベントカレンダーの担当は、顧客のサクセスに深く熱くコミットするCS部部長てるみーの投稿です!
お楽しみに!



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