見出し画像

エクスパンション創出への挑戦!セミナー活用の戦術と成果

この記事は 株式会社ベーシック Advent Calendar 2024 、9日目の記事です。

こんにちは!株式会社ベーシックの大井 菜緒です。
2024年も終わりが近づき、この1年を振り返るタイミングとなりました。

ベーシックのマガジンでnoteを書くのは、入社2年目に執筆した「案件化率が2倍以上。オンラインセールスチームが取り組んだ営業資料改革とは」以来です。
当時はセールス部に所属していましたが、翌年からはカスタマーサクセス部でハイタッチでの顧客支援を担当し、今年からは、ローテック施策専門の「カスタマーマーケティングチーム」に所属しています。

今年担当していたものの1つが、セミナーを活用した「ソリューションメニューと機能アップセルによるエクスパンション創出」でした。
2年前、ハイタッチCS業務を行いながら、「セミナーで本当にエクスパンション創出ができるのだろうか?」と疑問を抱いていた私ですが、今なら胸を張って「できます!」と言えます。

この記事では、カスタマーマーケティング業務に取り組む方々の参考になればと思い、ferret Oneでのご契約者さま向けのセミナーの取り組みについて共有します。

今回はセミナーに特化した内容になっていますが、カスタマーマーケティングの取り組みの全体像については、12月14日同チームの梨木が執筆する「ferret Oneのカスタマーマーケの立ち上げについて」をご覧ください!✉️



BPaaSにおけるエクスパンション戦術の難しさ

ferret Oneでは、顧客が直面する課題に応じて、以下のようなオプションメニューをご提供しています。

  • 施策代行メニュー
    リソース不足のお客様向けに、施策を代行するサービス。
    (例)記事制作代行、ホワイトペーパー制作代行

  • コンサルティングメニュー
    マーケティングのノウハウ面を支援するサービス。
    (例)年間伴走支援プラン、SEOコンサルティング

  • サイト制作メニュー
    Webサイトのカスタマイズや制作代行を求めるお客様向けに、サイト制作を代行するサービス。
    (例)Webサイトのフルリニューアル、LP制作など

機能オプションメニュー
新しい施策に挑戦したい顧客向けに、施策に必要な機能をご提供。
(例)MA機能、ポップアップ機能

この構造自体はシンプルですが、課題は「顧客ごとに異なるエクスパンションのシナリオをいかに描き、ローテックで実現するか」にあります。

※ 補足 ※
本noteでは、エクスパンションの対象メニューとして、利用機能だけでなく、アウトソーシングサービス・コンサルティングサービスの付帯メニューも含めます。

難しいポイント① 「内製支援目的」と「商談創出目的」のバランス

一般的に、セミナーで集客した見込み客に役立つ内容を届け、サービスに興味を持ってもらった顧客を見つけ出し、商談につなげるという方法はよく取られます。
2024年上期には、そういったノウハウ提供型セミナーを積極的に実施しました。これらのセミナーは申込者数も多く、顧客にとって有益な学びを提供できたものの、エクスパンションにはつながりにくいという問題が浮き彫りになりました。

難しいポイント② ソリューションメニューごとにローテック施策の有効な使い方が異なるため、思考・コンテンツ作成の工数がかかる

ソリューションメニューや機能メニューの商談創出には、商材の特性を把握した上で、顧客の課題に応じたコンテンツの設計が不可欠です。
しかし、数多くの商材ごとに必要な情報をインプットし、効果的なコンテンツを作り込むには、膨大な時間とリソースが必要です。

今年実施した施策と成果

以下に、具体的な施策とその成果をいくつかご紹介します。『BPaaSにおけるエクスパンション戦術の難しさ』で紹介した「難しいポイント」をどのように解決していったかについてもそれぞれ記載しておりますので、参考になれば幸いです!

新機能説明セミナーの開催と成果

ferret Oneでは、新機能リリース時の告知方法として、以下の3つを実施しています。

  1. リリースノートの配信

  2. 管理画面内でのテックタッチによる告知

  3. 新機能説明セミナーの開催

2024年は、新機能説明セミナーを計20日程開催し(2023年は0回)、478名のお客様にご参加いただきました。
このセミナーは、機能の活用促進と新機能のアップセルの2つを目的とし、30〜45分程度の内容で、新機能の説明や活用方法のデモンストレーションを行っています。

実際に行った新機能説明会の例

セミナーの主なゴールは、お客様に視聴後「早速実装してみよう!」と思っていただくことです。
ただし、課金が必要な機能の場合、すぐにお試しいただけないため、セミナー終了後にはアンケート結果をもとに、私自身がお客様へお電話し、次のアクションをご案内していました。

アンケート回答ごとに行ったアクション

・無料トライアル希望の有無を確認
希望者には担当CSが個別面談を実施し、活用方法の提案や疑問解消をサポート。

(※すぐに日程調整ができるようにフォーム作成ツール「formrun」でアンケート作成+日程調整ツール「bookrun」を連携しています)

検討度合いの確認
「検討したい」「興味がある」と回答されたものの、個別面談の申し込みがないお客様には、私が電話でフォローを行いました。具体的には、

  • 金額の確認のみで満足される方には見積もりを提供

  • 機能の活用イメージが湧かない方には追加資料を送付

  • 必要に応じて個別面談をセッティング

セミナー後の架電には、以下の2つのメリットを感じていました。

  1. セミナーの感想を直接ヒアリングできる
    → 企画者が架電することで、お客様が理解できなかった箇所を把握し、今後のコンテンツの改善に役立てられる。

  2. 検討が後回しになりがちな顧客を逃さない
    → セミナー後すぐにフォローすることで、検討を進めることができる。

特に課金が必要な機能メニューの場合、このフォローが非常に効果的でした。
一方で、課金不要のセミナーやβ版機能の提供が可能な場合には、「まずは自分たちで試してみよう」という心理が働きやすく、セミナー直後はまだあまり疑問が明確になっていないことが多いため、あまり上手くフォローができませんでした。

これらの取り組みにより、一部のテーマではセミナー参加者から個別相談へとつながる割合が20%に達するなど、大きな成果を得ることができました。

ソリューションメニューに関するセミナー開催と成果

施策代行メニューやサイト制作に関するセミナーを今年は13回・18日程(2023年は2回開催)開催しました。
ここでは、施策代行メニューとサイト制作メニューをあわせて「ソリューションメニュー」と呼びます。セミナーの設計では以下の工夫を行いました。

ノウハウ提供型セミナーは別コンテンツとして展開し、商談創出目的は「サービス説明会形式」で開催

ソリューションメニューの商談創出を目的とするセミナーでは、「学習講座」と「商談創出」の機能を明確に区別することが課題でした。
たとえば、セミナー参加者が「ホワイトペーパーの作り方を知りたい!」と期待して視聴したにもかかわらず、実際はサービスの説明会だった場合、セミナーだけでなくサービスに対する信頼を損なう可能性があります。
前述した、「BPaaSにおけるエクスパンション戦術で難しいポイント① 内製支援目的と商談創出目的のバランス」がまさにこの話です。

この問題を解決するため、学習講座・機能の活用促進目的のコンテンツはリアルタイム開催のセミナーではなく、資料形式(フォーム入力不要)やアーカイブ動画形式の学習講座として提供することにしました。

<ferret Oneの操作に関するページや動画>
ferret Oneを導入したてのお客様や、新しく担当になり初めて操作する方向けのコンテンツです。

ferret One導入ガイド

<BtoBグロースステップ講座>
BtoBマーケティングのノウハウとferret Oneの実践的な活用方法をセットで学ぶことができる学習コンテンツです。

BtoBグロースステップ講座の実際の講座例

<施策別機能マニュアル・お役立ち資料>
ホワイトペーパー作成ワークシートやブログ公開チェックリストなど、webマーケの施策実行に役立つフォーマットや手順書です。

施策別機能マニュアル・お役立ち資料の実際のコンテンツ例

一方、認知度が低いが需要があるメニューについては、期待値のズレを防ぐため、「サービス説明会形式」で開催しました。
ノウハウ型セミナーと比べると集客数は1/3程度でしたが、そのメニューへの興味が高い人が確実に来てくれたことで、商談創出につなげる事ができました。

<説明会形式のセミナー>

説明会形式のセミナーのコンテンツ例

「アウトプット内容」を明確にしたセミナー参加後のアクションを用意する

とはいえ、サービス説明会形式のセミナーでは、具体的なサービスに興味を持つ方に直接アプローチできる一方で、「自分たちの課題が何かよくわからない」「解決すべきポイントを言語化できていない」という層にはリーチしづらいという課題があります。
特に、マーケティング業務を包括的に支援するferret Oneのようなツールでは、お客様ごとに課題のレベルや内容が異なるため、抽象的な悩みを持つ顧客には課題を一緒に整理するプロセスが必要です。

そこで効果的だったのが、「具体的なアウトプット」を提示したセミナー参加後のアクションを用意することでした。
このアプローチにより、セミナー参加者が「自分たちが解決すべき課題」や「得られる成果」をより具体的に想像しやすくなりました。

(例)競合企業のwebサイトから改善の示唆を得る方法に関するセミナーの場合

以下は、セミナーテーマに応じた次のアクション例です。

  • 競合分析
    競合他社のサイトやマーケティング施策を分析するためのフレームワークを提供し、「どの部分を改善すればよいか」をご提案

  • 導線改善診断
    サイトやLPの動線設計を具体的に診断し、改善ポイントをご提案。

  • マーケ業務棚卸し相談
    実施中のマーケティング施策を一覧化し、優先度や業務難易度を整理。

  • TOPページ改善診断
    TOPページのデザインやコンテンツ配置の改善ポイントをご提案。

「何でも聞ける無料個別相談!」ではなく、「競合分析の診断結果が手に入る」と聞けば課題が明確でない顧客でも「それなら試してみよう」と思えるはずです。
このように具体的なアウトプットを提示することで、抽象的な悩みを持つ顧客の相談窓口としてセミナーを活用することができ、商談のきっかけも作りやすくなりました。
最終的には、顧客のサクセスを実現するために個社ごとのプランを提案することが理想ですが、このようなセミナー設計を取り入れることで、明確なニーズを持たない「潜在的な困りごと」を抱える顧客を見つけやすくなると感じています。

販売商材の提案筋がわかる社員との壁打ち

ソリューションメニューは、商品カテゴリとしてはBPOやコンサルティングになり、商材ごとに解決できるお客様の課題が異なります。そのため、すべての商材がセミナー形式に適しているとは限りません。
例えば、「ホワイトペーパー制作代行メニュー」の拡販を行いたいと思って「ホワイトペーパー制作代行説明会」を実施したとしても、提供内容が単純明快なため資料の提供だけで事足りる、など。

そのため、まずは販売実績があるメニューからテーマから選び、試行錯誤を重ねることが必要です。販売実績がないメニューでもセミナー開催にチャレンジしてみたことがありますが、提案方法やフォローの仕方が確立できず、あまりうまくいきませんでした。

企画・構成を作成する際には、「提案のネックは何か」「どの顧客層に適しているか」を正確に見極めることが欠かせません。そのため、提案経験の豊富な社員と壁打ちを行いながら進めた企画は、セミナーのストーリーがより明確で伝わりやすく、効果的に仕上がることが多かったです。

ユーザー会での機能アップデートの先行告知

これまでセミナーに関する話題を中心にお伝えしてきましたが、私は今年、ユーザーコミュニティ「U_fO(ユーフォー)」のコミュニティマネージャーとして、その立ち上げと運営にも携わっておりました。
U_fOについてのリリースはこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000512.000006585.html

コミュニティでは、ユーザー同士の情報交換を促進する目的で、不定期にオフラインでの交流会を開催してきました。
webセミナーは、場所に問わず視聴いただけるというメリットはありますが、他のタスクをこなしながら「ながら見」になってしまうことも多く、多忙な役職者の方々にとっては参加が難しい場合も少なくありません。

そこで、オフラインイベントにお越しいただいたユーザーの皆様には特別に新機能のリリース予定を告知することで、ferret Oneの機能アップデートにワクワクしてもらえる・直接VoCもいただけるという効果が得られたと感じています。
※コミュニティのお話も語りたいことがいっぱいあるのですが、今回のテーマと異なるため今回は割愛させていただきます!!>< 

カスタマーマーケって最高だよねという話

このnoteを執筆して、「この1年間セミナー沢山やったなぁ・・(笑)」と思いました。
セミナー担当のやりがいは、商材ごとの特性を捉え(顕在層が多いのか、潜在層が多いのか)、社内外のナレッジを集約してコンテンツを開発して、CSのハイタッチ業務でも使えるツールを増やすことで、「提案業務の仕組み化に貢献できる」という点にあります。

特に、昨年までは社内のメンバー1人1人のナレッジを集約して企画することが多かったのですが、今年はユーザーコミュニティの活動が開始したこと、プロダクトの新機能リリースも多くプロダクト開発部門との連携も更に強化できたことで、

  • ユーザーコミュニティで形式化された、ユーザーの施策ナレッジ

  • ferret Oneの全ユーザーのデータを基にした分析結果

も取り入れることができました。

いわば、ferret Oneをご利用いただいているお客様と一緒に、サクセスの源泉となるナレッジを共に開拓していけることが、このカスタマーマーケの仕事の醍醐味だなと感じています。
2025年も、もっとお客様のサクセスに貢献できるセミナーや楽しく学びのあるイベントを届けられるよう努めてまいります!

それでは、次のアドベントカレンダーは、見山先生の「「その企画、意味ある?」BtoBウェビナーの要はインサイドセールスだった話」です!セミナーナレッジ続きですね!お楽しみに!✨️


いいなと思ったら応援しよう!