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アフターコロナでもオフィス回帰しない理由 〜リモートワークで実現する、働きがいの向上と業績UPの秘訣〜

株式会社ベーシックの人事を担当している大谷(@basic__momo)です。

私は現在、中途・新卒における採用活動、ES(Employee Satisfaction:従業員満足度向上)向上の取り組み、広報など幅広く人事の活動に関わっております。直近採用面接でも、リモートワークの会社・柔軟な働き方を求めて弊社を志望してくださる方が増えてきたように感じています。

2020年に始まったコロナ禍から約4年経ち、これまでリモートワークを中心としていた会社の「オフィス回帰」が加速し始めています。完全なフル出社ではないにしても、出社曜日の固定や、月or週における出社回数の縛りが出てきているという方も多いのではないでしょうか。

そのような流れの中、ベーシックでは、今のフルリモートワークを中心とした働き方をこれから変える予定は現状ありません。

ベーシックがオフィス回帰しないと判断した背景や、リモートワークを中心としたベーシックの働き方の全体像について、改めてnoteとしてまとめて皆様にお伝えできればと思います。特に以下に当てはまる方にご覧いただけますと幸いです。

・リモートワークでの働き方に課題を感じていた人事・経営者
・リモートワークでも"成果"を出すポイントを知りたい人事・経営者
・リモートワークの導入を検討している中小企業の人事・経営者
・従業員エンゲージメント向上を目指す企業のHR担当者
・地方在住でリモートワークを希望する候補者の方

ベーシックの働き方

当社ではフルリモートワークを開始してから4年以上経過しており、現在も9割以上の社員がリモートワークにて働いています。
また北海道や沖縄、東北地方など地方に住んでいる社員も多く、社員の約4割が東京以外に在住しているという状態です。

多くの企業が続々と「オフィス回帰」を宣言する中で、ベーシックがリモートを続けている一番大きな理由は、リモートワーク開始後も事業の業績が順調に伸び続けており、MRRが約950%以上で向上していることが挙げられます。

リモートワークにすることで、「家族との時間が取れるようになった」「ワークライフバランスを大事に働けるようになった」「移動時間が減って業務が効率化できた」などのメリットが多い一方で、「事業の業績が下降してしまった」とか「社員の帰属意識が低下したりメンタルコントロールが難しくなったりして、休職や退職が増えてしまった」といった声を聞くこともありました。

ただ働く場所をどうするのかという単純な問題ではなく、「何を目的としてその働き方を選択するのか」ということが重要だと思っています。
その観点において、上記のポイントで言及しましたように、ベーシックでは「事業成長と働きがいの両立」を目的と置いています。

ベーシックでは「事業成長と働きがいの両立」を目指した組織づくりを行うため、2020年当時から「挑戦と成長を促進する評価制度の運用」「行動規範の浸透」「コミュニケーション設計」「環境整備」という4つの取り組みを実施してきました。
ここからは、それぞれの施策について詳しくお話しさせていただきます。

リモートワーク成功のために抑えるべき4つの仕組み

ベーシックとしては、以下の4つが、「リモートワークを成功させるための肝」だと考えています。

1.評価制度

1つ目の取り組みは、「挑戦と成長を促進する評価制度」の運用です。前提として、弊社は社員に対する「成長機会の提供」と「適正な処遇・評価」を提供するとともに、社員には継続的な成長志向を求めています。

また、リモートワーク環境下の評価制度において特に重要なのは、プロセスだけではなく「成果」に基づいて評価することと、適正に評価するための目標設定を徹底することだと考えています。

ベーシックではそのような考えを基にした評価制度として、「期待役割グレード制度」を導入しています。

具体的には、過去の一定期間に成し遂げた成果に対して評価・報酬を決めるのではなく、次の半期でその人に期待する役割(職責)の大きさに対してグレードと報酬を決定します。つまり、グレードの決定時に能力が多少不足している部分があっても、会社が期待して役割を任せることができると判断したら、報酬を上げるという制度運用になっています。

例えば、ビジネス職のグレードであれば、「難易度」「組織影響度」「裁量度」「対人関係スキル」の4軸でポイントが割り振られていて、その総合点でグレードが決定されます。また、1つ上のグレードに対して7〜8割は達成可能な水準だろうと判断されたタイミングで、グレードの引き上げを検討する形となります。

ミッション達成を目的として、週次・日次ペースで細かくPDCAを回していくと、リモートワークだからと言ってさぼってしまうといったことは起きません。これが、弊社がリモートワークに移行してからもうまく組織が機能している大きな要因の一つだと感じています。

2.行動規範

2つ目の取り組みは、「行動規範であるbasic power​​(コンピテンシー)の浸透」です。

私たちは「GOAL ORIENTED(目的志向)」「TRY&LEARN(仮説検証志向)」「TEAM SPIRIT(協調・協業志向)」という3つのコンピテンシーを非常に重要視しています。これらは、リモートやオフラインといった働き方を問わず、成果を出すために必須の行動特性として定めたものです。

コンピテンシーという言葉の定義が「成果を出すための行動特性」であり、以下の図にもあるように、前述で設定した目標に基づいた成果の最大化のためには、まさにこの"行動"が重要だとベーシックでは位置付けています。

半期ごとに社員全員が集まる全体会では、「コンピテンシーの体現度合いの高い方」をMVPとして表彰します。そして、彼らが成果を創出するプロセスや、日々意識していることを社内報を通じて啓蒙することで、他メンバーのコンピテンシーへの理解がより深まるようにしています。

3.コミュニケーション設計

3つ目の取り組みは、「コミュニケーション設計」です。社員同士のコミュニケーションが円滑に行われるための、仕組み・制度が整備されています。

ベーシックにおいてはリモートワークが中心のため、普段は、Slack(テキスト)もしくはGoogle Meet(Web会議)を使用してコミュニケーションを取りつつ、会議や業務に応じて適宜出社も行っているという社員が多いです。

そのため、弊社ではリモートワーク移行後にエンプロイーサクセスに力を入れて、普段の業務では絡むことが少ない社員同士の連携や、横軸でのコミュニケーションパスを会社側から誘発する仕組みを構築してきました。

新入社員の受け入れ時の施策としては、入社前に人事とマネージャーで綿密なミーティングを行った上で、誰が、いつ、何をやるのかをまとめた「入社オンボーディングシート」を用意し、一人ひとりに合わせた丁寧なオンボーディングを実施しています。

入社後はとにかく新入社員が不安に感じないような働きかけを大事にしていて、定期的な1on1に加えて様々な切り口での歓迎ランチを企画したり、「ブラシス制度」として頼れるお兄さん、お姉さんとなるようなメンターを人事がセッティングしたりしています。詳しくは以下のnoteをご覧ください。

また、改めてオフィスの位置付けを再定義しました。オフラインの意義、より具体的には"オフィスの意義"を考え、それに基づいたレイアウト変更まで行っています。熱量交換や関係構築がしやすくなるようなオフィスレイアウトを実現しました。

オフィスのあり方"に関しては以下のnoteで情報を公開していますので、よろしければ合わせてご覧ください。

4.環境整備

4つ目の取り組みは、「環境整備」です。中でもベーシックでは、全社的にAI活用にかなり力を入れております。AI技術を最大限に活用することで、リモートワーク環境下での業務効率化と従業員満足度の向上を図っています。

GPT4の全社導入はもちろん、AIに詳しいメンバーが全社員向けに「生成AI活用講座」を開催し、GhatGPTを活用してできることや、ChatGPT以外の生成AIツールの紹介などを行いました。

2024年2月~4月にかけてAI勉強会を開催。
研修の中で実際に皆でワークをする場面も。

全社員が集まる総会ではAIアワードに取り組み、AIによりどのくらい業務が効率化できたのかのナレッジ共有の場として、全員参加型・投票形式でのプレゼンバトルを行いました。

2024年1月の全社総会で、部長陣によるAIプレゼンバトルを開催しました。
2024年7月の全体会では、全社員からエントリーを募ったAIアワードを開催。

また、AIの活用度合いが進んでいるメンバーには個別でインタビューを行い、どのような事例があるのかを社内報にて展開しています。

社内報の一例。
実際にAIをどのように業務に活かしているのかを取材しました。

また、アナログな作業が残りがちなコーポレートにおいても、労務、総務、経理など様々な領域において便利なツールを利用し、デジタル活用を図っております。

捺印のために、請求書処理のために、印刷のために等々、労務、総務、経理などの職種の社員だけが、出社し続けているという会社もまだまだ存在すると思っています。他の社員がリモートワーク中心の中、一部社員だけが出社をある意味強いられている状態は、精神的に疲弊したり、組織に歪みを生みかねません。

以下のツールマップのようなものを作って、デジタル化されているプロセス、アナログな作業が残っているプロセスを見える化した上で、最適な環境を整備することが必要だと考えています。

以上が、ベーシックが行ってきた、リモートワークを中心とした働き方に関する取り組みのご紹介でした。
ここまでお伝えした4つの取り組みを徹底したことで、冒頭にお伝えした通り「直近4年でMRR約10倍、働きがいの上昇」という成果に繋がりました。

もちろん、どのような施策を行おうとも、退職者が一切出なくなるということはありません。しかし、近年は人間関係や評価への不満を理由に退職する方がほとんどおらず、その後も有難いことに、「ベーシックが大好きです」「とても良い会社だった」と言ってくれている人が多い状態です。

途中でも触れました通り、リモートワークは、それを支える仕組み・体制がセットでしっかりと整っていれば、確実にメリットを得られる働き方だと思っています。

私たちのようなベンチャー企業において、こちらが求める採用要件の人材がいくらでも簡単に採れる、という状況では当然のことながらありません。
そのような中、オフィスの所在地に関わらず、地方まで含めてベーシックで活躍してくれる優秀な人材を採用していくことは、急速な事業成長を目指す上で欠かせないことだと思っています。
また、結果的には、地方の雇用創出という形で、地方創生の文脈でも貢献できているのではと考えています。

今回ご紹介した内容は、全ての企業に適用できるほど汎用的なものではないかもしれませんが、リモートワークを中心とした働き方を考えている会社にとって、少しでもご参考になっていましたら幸いです!
「事業成長と働きがいの両立」が実現できる会社が1社でも増えることを願っています。


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