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壊れるほど考えても、1/3も伝わらない

この記事は、#B2Bマーケアドベントカレンダー2024 10日目の記事です。アドベントカレンダーの記事や感想に関してはXのハッシュタグ「#B2Bマーケアドベント」をご覧ください!

こんにちは!株式会社ベーシックのみやま(@myan_sales)と申します。
B2Bマーケアドベントにお誘いいただき、筆を走らせております。

わたしはこれまで営業にキャリア軸を置いていたのですが、とあるタイミングでマーケターに転身し、現在はベーシックで「ferret」というブランドに紐づくBPaaSモデルの各サービスにて、Sales/Marketing Opsをやりつつ直近数ヶ月はインサイドセールスの責任者を担っております。

2024年を振り返ると、本当に色々な取り組みを行ってきました。B2Bアドベントは参考になりすぎるアウトプットがひしめき合っているので、本noteでは敢えて「原点に立ち返ろう」と思い、自身の失敗と最近感じている違和感の言語化から気付きのアウトプットをしてみようと思います。


「伝える」と「伝わる」の違い、理解してますか?

国語的な見出しになってしまったのですが、今読んでいただいているマーケターのみなさんは普段意識しているでしょうか?わたしはかなり意識しています。

「伝える」と「伝わる」の違いは至ってシンプルです。国語辞典を引いてみると明確に書いてあるのですが、「伝える」は一方向のコミュニケーションで「伝わる」は双方向のコミュニケーション。伝えたことを相手が理解したことによって、完了系である「伝わっている」状態になるかと思います。

わたしがなぜこれを意識し続けているかというと、新卒時代に営業で「言ったか言ってないかではなく、伝わったか伝わってないか」を問われ続ける組織にいたことも背景にはあるのですが、
そもそもマーケターは「ユーザーのニーズを満たすこと」「その結果として、ビジネスに繋がること」が役割で、ビジネスに繋げていきたいターゲットをたて、そのターゲットの解像度を深めニーズを満たすための取り組みをしていくことがマーケターのお仕事と理解しているからです。

ユーザーのニーズを満たすとは言っても、BtoBであれば企業や組織のタイミングによって購買行動がスンスン進むこともあるため、そのタイミングでない企業・組織・事業に購買してもらうためには、「企業・事業・組織が気付いていない課題を認識してもらうこと」もプロセス上セットで必要になります。そもそも人を動かすためには、「伝える」だけでは不十分なのです。

ちなみに1人の人間としては、toCだとほんとサクサク意思決定して購入してるんですけどね(ブラックフライデーというだけで買ってる自分にびっくり。誕生月だからとか。今月頑張ったな〜とか。)

なぜこんな言葉の定義を大人になって、ましてやnoteでわざわざ書いているのかというと、一方向を強要するコンテンツになってないか?ビジネスに繋げることを最優先にしすぎていないか?を改めて考えたくなったからです。

騙してまで伝えたいのか

ちょっと尖った見出しにしてしまったのですが...。悪意はないです。

ちなみに、「期待してた内容じゃなかった」ってセミナーアンケートでご意見をいただいたことってありませんか?わたし、あります。凹みます。でもそれってこの後述べるような、目の前のKPIを追いすぎて大事なことをおざなりにしていたことが原因なのです。

だから「このマーケ施策って、本当にユーザーのためになってるの?伝わってる?」私はいつも、そんなことを自分に問いながら仕事をしています。

そんな失敗からの学びをもって過ごしているのですが、ここ半年くらいで「騙そうとしてる?」と思えるようなコンテンツを目にすることが増えた気がします。「騙す」という言葉が強すぎる自覚ありますし、騙すという表現が毎回浮かぶわけでもないのですが、「期待していたものと違う」経験が積み重なると、そういう表現になるのかと思いあえて選んでいます。わたしが実際にアンケートを見て凹んだ時に「騙した気持ち」になったのも事実あります。

どうして騙された気になるのかを考えて掘り下げると、自分がマーケターだからというのもあるとは思うのですが、開封させたい・申し込ませたい・とりあえずCVさせたいといったコンテンツの意図が見えていることが大きいです。それを出しても「ユーザーのニーズは満たされない」し「その結果として、ビジネスにも繋がらない」のになぁと。

例えば、本文とリンクされていない、奇を衒ったメルマガのタイトル。
例えば、興味があって申し込んだけど話していることは表面的なウェビナー。(自戒の極み)

もちろん、目先のKPIや数値もあるのでそれはそれで向上させていく必要はあることと、わたしがターゲットじゃなかった、ということもあるかとは思うのですが、ちょっぴり悲しい気持ちになるのです。
ああ、わたしもそう思わせてしまってたのかと、今思い返しても恥ずかしい。

コンテンツを見て「ちょっと期待と違ったな」と思えば、わたしの中で完結して、もうそれ以降は触れないでおけば済むのですが、やはり真新しいものとなると自社メンバーも「成果が伸び悩んでるし、そうするべきなのかも…?」とざわざわすることも見かけるようになり。そこでわたしが、このnoteのように問いかけるのです。

「それって結局、何を伝えたいの?」
「顧客が読んで、どういう感情になると思う?」

テキストで書くと棘がありそうに見えますが、自身の過去の失態も含めコトに向き合って小さな違和感も見逃さないようにしています。みんな一杯一杯の業務の中でも、伝えようとしていることを否定したいのではなく。

これはわたし自身がマーケター1年生になった時にお世話になった1人の大大大先輩がとても大切にしていて実際にしていただいていたことにもなります。「それって本当に顧客が知りたいことなんだっけ?本当に顧客に提供できる価値ってなんだっけ?」「タイトルの引きは良くてDLされるかもしれないけど期待に添えてる?」と今思えば超絶本質的なフィードバックをしていただいていたなと。自身が実際に騙しコンテンツを世に出してしまい大反省した時に「あ、あの時の…!」と繋がった話でもあります。

そして、実際に社内でも時折そのようなフィードバックは飛び交っていましたものの、当時のわたしのように一生懸命に成果を追って視野狭しに頑張るとついおざなりになるもので、小手先の技を会得したくなる気持ちもわかるのです。

かといって「「「伝えたい」」」という気持ちは強く感じるものの、全然伝わらない。伝わらないから感情も動かない(なんなら後ろ向きに動くことも)。感情が動かないから自身の行動も変わらない。

マーケターであるなら、「伝わる」ことに100%集中したいなと。どんなに忙しくても、どんなに時間がなくても。
そして後述しますが、仮に伝わらなかったとしても、マーケターが世に伝えるべきは「価値」とも思うわけです。

「伝わる」ため今日からできること

じゃあ一方向的な「伝える」ではなく、双方向で成り立つ「伝わる」にするためにはどうしたら良いのか?

結論、以下のループを極めることと考えています。

  1. 顧客の解像度をあげるために動く

  2. 自社の解像度をあげるために動く

  3. それらを構造整理して紐付ける

  4. 企画や施策に落とし込む

まず第一は、顧客の解像度をあげること。それはそうですよね。
ただ顧客というのも、個にとどまらずその企業を取り巻く市場環境や競合の台頭、全体の流れから始まり、企業にとっての事業の立ち位置や事業状態、組織のカタチ、そして各役割のオペレーションなどなど。

解像度の上げ方についてはわたしの鬼のバイブル「解像度を上げる」や、著者の馬田さんが公開されているspeakerdeckを見ていただくことが全てだと思うのでご参考にしていただいて。

(speakerdeckはいまだに月1くらいでぼーっと見直すんですけど、視野狭しになってたわ…この観点抜けてたわ...と思うこともあり。おすすめです)

例えば、"部分"だけを見ていると、「企業・事業・組織が気付いていない課題を認識してもらうこと」はできません。基本的にはペインを解消するために導入されるプロダクトが多いと思うのですが、一部署のとあるペインは現場からしたら本当に痛すぎて涙目なものの、経営からしたらかすり傷にもなってないこともたくさんあるのです。「本当にそれ解決してインパクトあるの?」で一蹴です。
なのでそのペインが事業や企業にとってどうなのか、むしろ事業や企業にとって、未来の大きな痛手になることはないのかを考えます。

(とはいえ、こう言っているわたしも経営にとっての痛みを120%理解しているかというと経営者の経験はないのでわかりません。でも、わからないからこそ経験していない分、必要以上のインプットをして、構造的に理解をすることを怠らないようにします。伝える前に、こちらが理解をしないと。)

そして、顧客の解像度をあげることとセットで、自社の解像度もあげないと成り立たないのがポイントです。

自社の提供サービスについて、誰よりも語れるのか。誰よりもデモンストレーションができるのか。誰よりも活用シーンを知っているか。それを踏まえて誰のどのペインに、何を提供して、どう活用することで、どう解消(もしくはより企業成長)するのか。スペック・メリット・ベネフィットとそれぞれに整理ができているのか。

顧客と自社の解像度を高めて、繋げて。そうしてはじめて、何を価値として「伝える」べきなのかの輪郭が見えてくるはずなのです。

価値を見出し、伝える。その上で伝わるか

ここはわたしが今年身をもって経験した話を一つ。

弊社はSaaSを提供しているため、プロダクトがどんどんどんどん進化していっています。それはもう感動的に。5年前はそもそもプロダクトが対応できるスコープですら全くなかったやんと。むしろそこまでできるならもっとこうしたい!とdog-foodingしまくって、いよいよ食べさせる餌もないくらいに完全体に進化している今日この頃なのです。なんでかって?それは…

おっとすいません、このままプロダクトの魅力を語りそうになっていました。これは一方的に「伝える」だけになりますね。話を戻します。

元々フィールドセールスをやり、マーケをやり、そして今年下半期にOpsになったわたしは、言うても現場最前線でプロダクトを使う機会がだいぶ減っていました。ただとあるお客様の商談でフロントの営業担当になった時に、顧客の解像度は爆高いのに、自社の解像度が思ったより高くないことを知ります。

つまり表面をなぞっているだけで、自社が提供できる最新のスペックが理解しきれておらず、だからメリットもベネフィットも今や化石状態になっていることに気づきます。

そこでわたしは応援要請をしたのですが、応援メンバーが展開する話やプロダクトの活用イメージを聞いたことによって、顧客のペインと自社の提供価値の紐付けがアップデートされ、「どういうターゲットのどういう課題(今課題を感じていなくても、未来のリスクとして何が想定されるか)に対して、どういうベネフィットを訴求すれば、感情が動く伝え方=伝わるのか」が新たに見え、マーケ施策に落とすことにしたのです。

結果的に弊社視点でいうとその施策では、普段の3倍CVが増え、その結果商談も増え、受注も生み出しています。
顧客視点でいうと、弊社提供のコンテンツに普段の3倍の方が共感し、顧客の課題解決に向けて議論を交わし、先方社内での動きを生み出し、意思決定に至ったということになります。

ただ、伝えたいのは「解像度あげたらCV出たよ!売上に繋がったよ!」ではまったくなく「プロダクトが提供できる新たな価値を見出したこと」「言語化して価値を"伝えた"こと」「顧客に価値が"伝わった"こと」が重要であり、マーケターにとって最もであるということ。その結果として数値や売上に繋がっているということです。


…かの有名な🍎創業者も言っていました。
Connecting the dots.

(カッコつけたいだけ)

すみません。ただボケたいのではなく、よく言われる「点と点が"繋がる"感覚」というよりも、これまで自己が認識していた「一つひとつの点が"大きくなる"感覚」に近い感じです。
これは解像度の視点(深さ・広さ・構造・時間)を「顧客」と「自社」双方で洗い出し、構造化し、まずはそれぞれで繋ぎ合わせる。一度繋いで満足ではなく、それぞれの点を大きくしていくことで新たな価値が見えてくる。

一つひとつの点を大きくするためには、自身がどれだけ一次情報を生み出せるかにかかっているなと、感じたわけです。

自分で情報は取りに行く

一次情報は、最前線に行くこと他なりません。一次情報は読んで字の如く「自分が動いて直接取得した情報」です。

デスクでPC見ながらぼーっとカスタマージャーニーを描くより。ツールで細かく解析するより。まずはプロダクトなら使って自分が何かをやってみる、顧客とのmtgに同席をして議事録係に立候補する、社内だけでなく社外の繋がりを作ったり思い切って相談してみる(もちろん失礼のないように)、実際に出てきた仮説を自分で検証してみる etc.

そうすることで、解像度をあげる途中で疑問も湧いてきて、それを解消するために問いを立ててさらに動き、見えてきた仮説に基づいてまた動き…と繰り返しているうちに解像度はあがっているし、仮説は検証できるし、「自社が提供できる価値は何か」をスピーディに見つけられると思うのです。

AIが出てきてコンテンツを生み出すこと、つまりアウトプットは以前より容易になってきました。容易になったからこそ、出回るコンテンツの量は増え、これまでと同じようなパフォーマンスが出なくなり、冒頭で書いたような「騙しコンテンツ」(本人は騙すつもりはなくても)をやらざるを得なくなる状況もあるのかなと思います。

ただそこにはまったく共感するつもりはなく、過去の自分の失敗を許容するつもりもなく、マーケターと胸を張って言うのであれば、「コンテンツの量」ではなくまずは「自分自身の情報の量」を増やし、それを唯一のコンテンツとして世に発信する方がよっぽど世のため人のため、そして結果ビジネスにつながれば最高ハッピーじゃないでしょうか。

純情な感情が空回りしないように

タイトルは完全にSIAM SHADEさんからいただいているのですが、「こちらがどれだけ考えて伝えようとしても、1/3も伝わらない」のはそれはそうとも思うのです。

対nで考えたら1/3も伝わらなくとも、対1で解像度を上げて伝えた時に1/1に伝わる。その意識が、AIのある時代だからこそより重要であって、マーケターとして輝き続ける基本的かつ重要なことなのではないでしょうか。

壊れるほど考えるなら、自らが動いて確かめる方がよっぽど伝わるものになると。そう信じて2025年も頑張っていこうと思います。

以上、自戒を込めて来年のわたしへの備忘録がてらお届けしました!

至極当たり前のことをアウトプットして大変お恥ずかしい限りなのですが、本当にこの気持ちはいつまでも忘れたくなく。ぜひみなさんが大事にしていることや、伝説のバイブルなどあれば教えてください💌

明日のアドカレはイベマアドベントカレンダーの幹事でもあるEventhubのスーさんです!それではみなさま、良いお年を🐉


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